映画“Good Bye Lenin!”のドイツ国内大ヒット(現在ドイツ国内では6週連続トップの座を守っています)を受けてなのか、最近“オスタルギー(東へのノスタルジー)”という言葉をよく耳にするようになりました。
それでか、ベルリンのおしゃれっぽい地区にあるアンティークショップや、雑貨店。洋服屋などにはDDRの壁紙や石鹸、家具、買い物袋などが置かれているのをよくみかけるようになりました。もともとおいていたお店もありましたが、最近特に目につきます。

さてそんな中で私が気になっているのが紙の野菜や卵を入れる袋のプリント。袋のプリントの他、この前紹介した切手関係で調べたら色々でてきた、面白い消印など、DDRの判子っぽいデザインはどれもかわいらしくて、くっきりした線とデザインが良い感じです。今回はそんなDDRのプリントものをすこし紹介したいと思います。

1977年独ソ連友好記念消印
ベルリン名物の
赤の市庁舎とテレビ塔


左写真は70~80年代のDDR(旧東独)の野菜、果物袋。
『良い御買い物』と真中に赤くプリントしてあります。周りの花のような柄のかすれた黄緑色が気に入って、沢山買い込みました。
この時代のプリントはどうやってやっていたのでしょうか、とてもかすれているうえに、木版かなにかのような単純な模様と色の組み合わせ。ズレている部分もあります。しかし紙が凹んでいない所をみると、木版ではないのかな?
Guten Einkauf の部分は同じデザインで版を使い回していたようで、違うデザインと組み合わせたモノを発見しました。(下写真)この他にも、同じ版で違う色を使用したものも。
この頃、デザイナーやグラフィカーといっても、常に最終判断は国から下され、規制もあったので、自分で自由にデザインをしてそれを世に出すことはなかなか難しかったとのこと。また、素材等も非常に手に入りにくい状態にあったので靴などの新しいデザインは苦労したとか。




次々と新しいデザインを考え、時代に先駆け、消費者の興味をひき売上を上げよう!とかそういう考え方は無かったわけで、一度決定されたデザインをそのまま使って行く方がこの時代の東独では多かったのでしょう。
そんな東独の国の方針を反映したデザインのレトロっぽさが、今、70年代、60年代が流行りとなり、逆にかっこいい!なんてなっているのですから不思議なものです。
売り上げだけを目的とせず、急速に時代にデザインを合わせようという方向に力を入れなかったため、逆に昔ながらのモノが残されたわけですね。これらの社会主義の長所(?)とでも言える部分は例えば、パン製法等にも残っています。機械化が遅れた東独地域ではかまどを使った昔ながらのパン作りのお店が細々と残っているのです。壁崩壊後に潰れた店も多いでしょうが、これを生きのびたお店は、どこも美味しい店が多いです。
さて右写真は別の袋。こちらは上写真の2つの袋より少々小さめで、卵を入れる袋だったそう。マチがちょっと他のより広くなっています。真中にプリントされている『良く買いました。喜んで買いました。』の文はこれを買ったお店の店員さん達のお気に入りだそうで、掘り出してきてくれました。周りのピンクの花のような模様もなかなかイイです。
しかしどの袋も問題なのはその紙質!マチを広げようとするとバリッ、中にモノを入れて折り曲げようとするとポリッ、と紙がぽろぽろと折れてしまうのです。デザインがよくてもこの質では・・・。旧東独の良かった面と悪かった面をこの袋を通してみた気がしました。

- - - - DDRのプリントはどうやって行われていたのかなど、これからわかったら追記して行こうと思います。





1977年
テレビ塔モチーフの
SOZPHILEX 77 (?)の消印




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