ベルリンに住んでから何度『ああコンビニがあったら!』と思った事でしょうか。食料の買い置きが無くてお腹ぺこぺこで食べ物を作る気力もないまま、ぐったり家に帰らねばならなかったりする時に一番切実にそれを思います。。ドイツ人に言わせれば『買い置きをしておけばいいじゃないか』というところでしょう。全くその通りではあります。が、しかし。
ここドイツではつい数年前まで、商店の営業時間は普段日は18時まで、土曜日は14時まで、と決められていました。私が来た頃は店は20時まで、土曜日は16時まででした。このシステムは平日に買い物ができる学生は良いですが、働いている人は週末にしか買い物ができないので、文句がでていました。しかしドイツ人的に考えると『もし22時まで商店が開ける事になったら、普通に会社で働いている人は17~19時までしか働かないのに、商店で働く人達は22時までしか働かなければならなくて不公平になる!』ということになります。なんとなく納得できるような?
何にしろ、ベルリン中で22時まで開いていて、日曜日も開いているスーパーというのは3つしかありません。それも22時まで・・。
そんな時、ちょっと嬉しいのが自動販売機の存在です。
というわけで前置きが長くなりましたが、今回はベルリンにある自動販売機についてです。
一番よく見かけるのが、食べ物や飲み物の自販機、煙草の自販機。そして、以外や良く目にするのが“自動体重測定器”です!夜中に突然体重を測りたくなる時がある???
うちの駅にもありますが、そちらはデジタルで、身長も測れるようになっています。

『よく測り生きれば
長く健康でいられます』
とのロゴ入り。
理想体重の表記も。
男性で182cm、なら80kg
女性で164cm、60kg。
ちょっと重くないでしょうか

一番良く見かけるのが上写真のようなチョコバーやスナック菓子、コーラ等の自販機。大学の学食近くにも設置されています。もちろん、グミもありますが、大抵がHARIBOやkatjesのようなメジャーブランドではなく、代わりにちょっと格落ちブランドのTroli を多く見かけます。Troliのグミはグミの形がメジャーブランドのバッタものっぽく(例えば、クリスマスグミや、熊、コーラ、ミミズ等)グミの触感、特にマシュマロがついたグミはHARIBO等と比べてベトベトしていて、色が毒々しいのが特徴です。スーパーにもありますが、いつも一番下の段にあり、ちょっと可哀想。値段は10セント程安い事も、あまり変わらない事も。自販機では大体、250g入りが1ユーロ、小さめのが0.55ユーロです。
グミの他は、スニッカーズみたいなどっしりしたチョコバー類が数種類、蜂蜜ワッフル、マジパン入りのチョコ、アップルパイ、サラミ、ポテトチップス・・・・取りあえず胃に重い物が並んでいます。これは、夜通しクラブなんかで踊った後の栄養補給に利用する人が多いからだとも言われていますが、真偽の程は分かりません。そういえばロンドンでもチョコバーの自販機はすごく多かったです。
これらの食べ物は、渦巻き型、ネジネジの仕切りに挟まっています。この仕組みは、自分が買いたい物がちゃんと売り切れていないか分かるので(下写真のようなタイプの自販機は“売り切れ”表示が無いので、たまにお金を入れても何も出てこなくて頭に来る事が多い。)良いです。お金を入れて、買いたい商品の数字を押すと、そのネジがクルクルと回転し、その商品を押し出す仕組みになっています。たまに、袋が曲がっていたりして、一度の回転では落っこちてこない事もあります。そうなればしょうがないので、機械を押したり、蹴ったりしてなんとか落っこちるようにするか、しょうがないのでお金をもう一度入れて、同じ物を2つ出すか、しなければなりません。飲み物の自販機は、商品が見えないようになっていて、各々の名前の書いてあるボタンを押します。炭酸入りの水、ファンタ、コーラくらいしか無いので、炭酸苦手の私は買った事がありません。カップが落ちて来てコーヒーが注がれるタイプのものもあります。

食べ物、飲み物の自販機は日本にも沢山ありますし、それ程珍しくありません。日本ではあまりみかけない自販機ももちろんあります。例えば上左写真、カラフルな色鉛筆タッチの絵が書いてあるこの機械はなんと、メルヘンの自販機!最初これを見た時に、ハンドルが着いているのを見て、なんとなくお金を入れてハンドルを回すと、この機械からメルヘンを読む声が聞こえたりするような気がしていました。種を明かせば、メルヘンを書いた紙切れが出てくるんです。『集めたり取り替えっこをしよう』とかいてありますが、これ集めている人って・・・。しかも、あまり買う人が頻繁に居るわけでは無いからなのでしょうが、あまり補充していないみたいで、お金を入れても出てこない事も!!!!要注意です。ちなみに1メルヘン、1ユーロ。
それから、箱入りの小さなグミ、ミントの自販機もあります。このグミは軟らかめで味はイマイチ、その上、気のせいか湿気ているような味も・・・。うーん。ミントは品質劣化があまり起こりにくく、あまりハズレがでる確率が低いと言えますが、グミはいくら防腐剤を入れてようと、ゼラチン質が多く、匂いや湿気の影響を受け易いのはどうしようもありません。
そして、右写真まん中、なんと石の自販機です!様々な効用(?)のあるラッキーストーンが、その効用を表記した箱に入って出て来ます。しかし、自販機で石を買いたい時ってどんな時でしょう。もちろん、石が好きな人というのは居ますが、博物館とかで買うならまだしも、地下鉄の駅で、しかも自販機で、石を買う???年間10個売れるかどうかという所じゃ無いかと思いますが、どうなんでしょう。あ、旅行の思い出という場合もありますね、きっと。私はでもこの自販機がとっても好きです。
その他、もっと変わっている自販機ではウジの自販機があります!うぇっ。これはある釣り用品店の横に設置されていて、その店主によると『イースターとかの休みの時期には少なくとも20個は出るよ』とのこと。『ウジ入りの缶詰めは買いだめして冷蔵庫に入れておくと、嫌がる人も多いだろうから、こうやって自販機にすれば釣りに出かける前にちょっと立ち寄って買っていけるというわけさ』うーん、確かに冷蔵庫にそんな缶詰めが入ってたら嫌ですね。
その他、お役立ちのシャツクリーニング自販機、電球、ネジといった工具の自販機もあるとか。日曜日大工をしようとして『あっ、ネジが合わない!』なんてのはよくあるのでこういうのは助かります。
しかし多くの自販機は、どうも帯に短したすきに長し、という感じで、欲しい物は無い!やっぱり、ベルリン中に1軒でいいから何でもそろうコンビニがあったらなあ・・と思うのでした。


*付足
ここに写真を掲載した、石やメルヘンの自動販売機、大好きだったのですが、昨年、撤退されました。 買う人はほとんど居なかったのでしょうけれど、とても悲しいです。
開店法が変更になったため、うちの近所のスーパーなども週末は22時まで開店するように。駅以外にも、夜遅くまで開店する店が増えました。
しかし、日曜日はまだまだ静か。 慣れてしまうと、お店などが開いていない日曜日がとてものんびりできて良いなあと思えるようになりました。(2007年、5月筆)



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