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(c)Delphi Filmverelih |
転入早々、『ツェーレンドルフから来たんだってよ。なら金持ちだろ』と、学校の不良グループ、
エロル達に目を付けられ、カツアゲされたあげく、靴をとられてしまうポリシュカ。靴を貸してくれたクリレとマッツェの兄弟の家に上がりこみ、ビールを飲んで、意気投合。
兄弟と一緒に、カツアゲのお金を調達するため、以前、母の恋人だったツェーレンドルフのお金持ちの家に強盗に入ることに。
お母さんは新しい男と知り合ったので、ポリシュカが友達の家に泊まって、勉強会をする、と言っても気にしない。 ツェーレンドルフのお屋敷に強盗に入って手に入れたブツを換金するため、一帯を仕切るギャング、ハマルと話をつけに行ったポリシュカは、 その度胸と人に疑われそうな顔つきをハマルに気に入られる。 エロール達に囲まれていたミヒャエルをハマル達は助けてくれ、その代わりとして、 ミヒャエルは彼等の『仕事』を手伝う事になるが・・ |
とっても痛い映画でした。物理的に痛い、というより、心理的にとても痛い。 ひょろひょろと手足がのびたポリシュカは、いかにもいじめられっ子の雰囲気。 彼が、不良グループのエロール達に殴られたり、もて遊ばれたりするシーンは、とても恐ろしく、見ているだけでも恐くて泣きそうになりました。 金バケツをかぶらされ、椅子に縛り付けられたポリシュカを的に、目隠ししたエロールがバットを持って、日本で言うところの『すいか割り』をするシーン。 的(ポリシュカ)に近づくと、周りの、目隠しをしていない人は『熱い、熱い、熱い』、遠くなると『冷たい、冷たい』・・とアドヴァイスをするのですが、 バケツをかぶった主人公の耳に届く、奇妙にに反響した外の声にかぶって、自分の呼吸がどんどん激しくなっていくところは、一緒に息がハアハア。 (ここからちょっとネタばれがあります。映画を見たい方は読まないで下さい〜)ころがるように、ドラッグ・ディーラーの手伝いにはまり、 お金を稼ぎはじめるポリシュカ。自分でお金を稼ぐ、ことでほこらしげな彼と、ギャング達に気に入られて、可愛がられて ちょっと気がゆるんだ時に任せられた、大きな麻薬の取り引き。 取引先からタクシーで帰るつもりが、タクシーがどうしても捕まらず、鉄道を使おうと駅に行ったら、ああ、なんでこんな時にかぎって・・エロール達に見つかってしまいます。 そしてお金を無くし、真っ青になって、働いて返します・・と泣く彼を冷たく一瞥するハマルの顔の恐いこと! 決着ををつけるべく、ピストルを手渡されたポリシュカは自殺するか、エロールを殺すか、決断を迫られます。 その、エロールに弾を打ち込むまでの、深夜から朝になってしまうまでの間、ポリシュカの苦悩が、痛いほど伝わってきました。 これからポリシュカはどうなるのか。それは、わかりません。 |
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ちなみに、ポリシュカ役のDavid Krossは、自分も似たような体験をしたことがあり、
だからこそ、なんとしてもこの役をやってみたかったそう。
彼が主役に選ばれた理由を監督は、『彼は、ピストルを手渡した時、まるで熱い鉄を持つかのように、おっかなびっくり扱ってたんだ。
それがポリシュカにぴったりだと思った』と語っていました。
確かに、今まで暴力を振るったこともないようなキャラクターでないと、確かにこの映画の印象は変わってしまうでしょう。
彼のキャスティングはばっちりでした!
この映画が公開されてから、Detlev Buck監督に対し、この映画に出てくる暴力シーンが、なんらか、悪用されて、真似されるようなとはないか、 ノイケルンの現状を誇張しすぎじゃないか、等の質問もありましたが、私はかなりリアリティがある、 そして、見る側に痛みを伝える暴力描写なのでこれを見て、真似したい、と思う奴がいるとは思えませんでした。 何にしろ、タイトル通り、かなりハードなベルリン、の一面を深く掘り下げる良い映画でした。 プレス公開では大拍手でしたが、見た後、どーんと暗くなります・・。 良い映画でしたが、かなり体力がいる映画です。楽しい気分になりたい方には決してお薦めしません。 7点。 (2006年、ベルリン映画祭観賞記より。批評はその時の気分と私の個人的な好みによるものです。ご了承下さい。) |