最近旧東独ものが流行し、最近では街の色々な所で旧東独のデザイン家具、食器などを目にするようになりました。家具や、デザインなどには非常に特徴があり、興味深いのですが、それを見ただけでは、旧東独の人達が一体何を見、何を考え、何に興味を持ち、どんなことをしたかったのか、ということはなかなか伝わって来ません。 今回は旧東独文化の様子を写し出す、当時出版されていたDDRこども雑誌をご紹介。 |
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その"FROESI"と並んで売れていた雑誌が"ABC Zeitung"です。 |
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様々な年齢向け、テーマの雑誌がありましたが人気の挿絵画家が存在し、多くは雑誌を掛け持ちしていました。
雑誌を沢山みるうちに目がひき寄せられてしまったのが、そんな人気挿絵画家のひとり、Richard Hambach さんのページ、『クレーン操縦者になりたいマンフレッド』でした。 夏ミカンを思わせる真ん丸でぷつぷつした顔のマンフレッド君は、二年生。 真っ赤な顔に黄色のシャツ、ピオニール団の青いスカーフをきりりと締めています。 クレーン操縦者になりたいマンフレッド君は、器械体操がとっても上手。 『だってクレーン操縦者はよじ登れなければいけないからね!』 しかし読書には全然興味の無いマンフレッド君。本をほうり投げて鼻をほじってます。 『世界に何が起こってるかなんて、ラジオを聞けばわかるじゃん。文字なんか読めるようにならなくてもいいや!』 休み時間は大騒ぎ。 『クレーン操縦者に必要なのは、人を呼ぶ、大きな声!だから多少休み時間にうるさくてもきにしない!僕、練習してるんだ!!』 工作の時間がドイツ人らしく大好きなマンフレッド君は楽しんではいますが、きっちり測って作りません。 『なんでミリ単位で測る必要があるのさ、多少大きさなんて違ってもいいじゃん!』 そしてこのマンフレッド君は一体全体、本当にクレーン操縦者になれるのかな!??皆でお便りを書こう!というのがこのページの主旨です。 次の月に掲載された、読者からのお便りには『マンフレッド君、君は怠け者だ!』といった、よいこ発言から、『文字が読めなかったら計器が読めないじゃない!クレーン操縦できないよ!』ともっともな指摘、『声が大きくないとクレーン操縦者になれない!って!笑っちゃった!!!でも彼はこのままでは落第してしまうよ。もっと訓練をしっかりして勉強もしないと』なかなか・・・・・・。 旧東独に限らず、子ども向け学習雑誌は常に教育的な作りでしょうが、旧東独は特に、国のためにピオニール団として何をすべきか、とか、訓練や鍛練はしっかりと、とか、助け合いの精神、といった事、そしてDDRという国の素晴らしさについて、子どもの頃から暗示をかけていこうという目的がどうもみえかくれする気がします。 その際たるものが、この『長靴をはいた猫、1963年、夏』だと思いました。(下写真) |
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長靴を履いた猫のお話を下敷きに、猫が粉屋さんを訪ねていく、という話です。 『外の世界に興味を持った雄猫は再び長靴を履いて、童話の本から飛び出しました。』そして、東独の国営粉工場を訪ねます。『猫や、ここではもうネズミはいないんだよ』と言われ、答えて雄猫『それでも素晴らしいことだよ!もう貧しい粉屋がいないってことは』・・・・。うーん、共産主義啓蒙。 そして、旧東独のマークの説明があります。『この3つの印は、全てがひとつなんだ。ハンマーは労働者、穂の輪は農業生産共同組合、コンパスはエンジニア、アーティスト、教師を表しているんだよ』『今や製粉組合員もそれぞれワッペンを付けているんだね!』と猫は喜び、メルヘンの本に帰っていきました。 彼はいまや、メルヘンと今日はすっかり違っていることを知りました。“伯爵”というものが存在しなくなってから、世界はとても素晴らしいものとなったのです。貧しい者は今や金持ちです。というのも、彼等の作りだすもの全てが彼等のものになるような世界となったからです。 ちゃんちゃん。おしまい。 |
・・・・・・DDR時代の雑誌というのは、絵柄、色、デザイン、おまけ等、かわいらしくて良い感じのところも多いのですが、なんというか、国家に沿う人間を作り出すために、かなり意識操作をしていたように見受けられます。 それが悪いかどうかは一概に言えない気もするのですが・・・。とりあえず、この長靴を履いた猫はすごい変作ですね・・・。 |