ベルリンはドイツでも一番デモが多い街である、と聞いたことがあります。
確かに、ラジオの交通情報を聞いていると、常にどこかでデモによる通行止めが行われているのがわかります。デモの種類は実に様々。自転車通行者のデモでは、通行止めになった道を自転車が大量に走り(ローラーブレードのデモもありました)また、ネオナチによるデモがあれば、そのネオナチに反対するデモが同じ日に行われるといった塩梅。
ドイツ人は自分の意見を外に出すことを重要視し、またそれが好きな人達、という印象があるのですが、デモもその一貫なのでしょう。
今回、アメリカのイラクへの宣戦布告から、世界各地で反戦のデモが行われていました。ベルリンでも15日に平和を祈るデモが行われました。そのデモは6月17日通りの天使の塔から、ブランデンブルク門を抜けてウンターデンリンデンまで、道全てが埋まる、大きなものとなりました。
戦争が始まりまずは午前中に5万人もの中高生(Schuler)達によるデモが行われました(下写真)。多くが顔にピースマーク、“STOP WAR”などと描き、『戦争にNOと言おう!
』『希望は絶望なのか?』等とかかれた旗を掲げました。その多くが英語で書かれアメリカのブッシュ首相に対する抵抗である、ということをはっきり示しています。

またこのデモには5万人というものすごい数が集まったにもかかわらずほぼ平和的に終わったことも素晴らしいと多くの生徒達が語っていました。
アメリカ大使館前では血を流し死んだように倒れている生徒達も。
このデモの為に学校を休んだ生徒は、今回に限ってチャラにされるわけではありません。しっかり無断欠席として数えられ、この日にテストがあった人達は自動的に0点、もしくは6(ドイツの最低点。日本の通信簿の1)がつけられました。
彼等は『学校で学べることもある、でもこのデモに参加することで学べることもある』と発言。
反戦のデモに一体どこまで効果があるか、ということに疑問を感じることは多いかと思いますが、彼等は『やることに意味があるかどうかというよりはまず、自分に反戦の気持を見せることが大事』と言っていましたね。
ベルリンの中高生の中には色々な政党の青年部に属している人もいてそういう子達がデモの先頭に立ってシュプレヒコールをしていることが多い様です。
自分達の権利を守るために、そして自分達の意見をみせるために、自分達でデモをすることは彼等にとって、当然のことなのです。

様々なデモの中でも、面白かったのが騎馬警官のデモです。これは騎馬警官の数が減らされることに反対するデモだったのですが、段ボールで作ったペラペラの馬に跨がった警官がまさに、『騎馬警官への予算が減らされると私達はこんなんに乗らにゃーならん』というのを体現してると思います!
ナイスアイディア!
場所はベルリンではなく、NRW(デュッセルドルフ、ケルン周辺)でしたが。
こうやって、自分がどう言う状況にあり、どんな意見や不満なりがあるか、ということを体現、表現するのは良いなあと思います。ちょっとユーモアを交えてあるところがより良い感じです。
私も、デモをするなら大声でシュプレヒコールをするより、静かでありながら多くを語るようにやりたいです。シュプレヒコールをすることで同じ考えを持っていることを強く伝えることができる、という言い方もあるようですが・・・・。


*付足
ベルリンがデモの多い街というのは今でもかわりません。そのかわり、最近でてきた面白い話題といえば、『パートタイム・デモ参加者』でしょうか。デモを行って意見主張を行いたいけれど、人が集まらない、なんて場合に助けてくれる人たちです。サイトなどで集められ、ネットを通じて彼らを雇う事ができるそうです。そうまでして主張するデモってなんなのか。ちょっと疑問でもあります。 (2007年5月筆)




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