ベルリンに来てから、早いもので4年弱になります。本当に日々があっと言う間に過ぎ、いつの間にやらすっかりドイツ人化している自分に気付いたりして、ちょっとドキッとしたり。来たばかりの時は何を見ても日本と違う!とカルチャーショックを受けたものでしたが、今や、ベルリンの習慣左側通行、日曜日にお店等が休日なこと、なにもかもがビッグサイズなこと・・大体の事にはもう慣れてしまって、逆に日本に帰った時に、食事の量の少なさと値段にびっくりしたりしています。しかし未だに馴染めない習慣もあります。
今回はその馴染めない習慣のひとつ、“皿洗い”について、書いてみようと思います。
私がドイツに来てから1年くらいたったころ、クラスメイトと一緒に郊外で滞在製作をしたことがありました。
食事や掃除、皿洗いは当番制。その時、クラスメイトの女の子と一緒にお皿を洗うことになったのですが、私が蛇口のそばでシャカシャカと洗っていると、彼女は『もったいない!!!私が洗うからあなたは布巾持ってきて!』と言って、2つ桶を持ってきました。ひとつに水、ひとつに洗剤をいれた水をはり、ざっとお皿から食べカスを落とすと洗剤入りの水につけ、それをしばらくしてから出し、水にくぐらせ、私に手渡すのです。
『えっ・・・洗剤まだついてるんじゃない?』という私に『これがドイツ流!』と彼女。

洗剤を入れた水に漬けおき


洗剤水からひきあげ、かるくこする。
スポンジには洗剤はつけないのがコツ
その後は、なんだか何を食べても、お皿にせっけんの味が残っているような気がして、楽しめなかったのですが、この時は、キャンプみたいな状況だったし、しょうがいないよね、と思っていました。
しかしその後、どこのドイツ人宅にお邪魔しても、私がお皿を蛇口の下でジャージャーと水を流しながらお皿洗いを始めると『もったいない!』と言われ、洗剤を溶かした水をシンクにはったところにお皿をドボン。それをかるく水に通して、乾かすのです!
『日本式に、洗剤をつけたスポンジで直接こすると、泡も落ちにくいからすすぎの水も多くなって、悪循環。洗剤を溶かした水につけるだけだから、軽くすすぐだけですぐ落ちるんだよ。』 『日本のやり方は不経済。水も流しすぎるし環境にも配慮してないよね』『水を使い過ぎると手が荒れるのが早いよ』・・・・・うーむ。 すじは通っているように聞こえるのですが、こればっかりは慣れの問題。ドイツ流に洗われた皿はせっけんの味がするような気がしてならないのです。
こすらないと綺麗になっている気がしない!水は思いっきりつかってお皿をすすがないとせっけんが取れてる気がしない! こういう風に考えるのも、水が豊富な日本から来たからなのでしょうか。 日本では水はタダ!という印象が強いですが、こちらではミネラルウォーターはビールより高価! 水に対する考え方が違うのはこんなところから来るのかもしれないなあ・・と考えながら今日も日本流、流水方式でお皿を洗うのでした。

*付足
最近、ドイツ流の洗い方に近いやり方をするようになりました。環境問題など色々考えていると、 やっぱりドイツ式の方が良いのではないかと思って・・。(2007年、5月筆)





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