旧東独時代は旧ソ連からも音楽を輸入したり、とにかくロシアンな文化が身近にあったという話は前にしましたが、今回はその余波?“ロシアンディスコ”
これなしにはベルリンの音楽シーンは語れないよ!
と今や言われる、RUSSEN DISKO (ロシアンディスコ)なるものに行ってきました!
これがもう最高!月に2回、KAFFEE BURGER というカフェ・バー、といってもただのお洒落スポットではなく、70年代には芸術文学演劇などに関わる人たちのたまり場だった所。現在でも反体制の雑誌などが手に入ったり、毎週“犯罪者のコレクター”という、出版社主催の朗読のイベントが行われたり、している文化のるつぼ。このRUSSEN DISKOは今やそこの看板でもあるイベントで、Wladimir とYuriyの2人組のDJが行っています。

Wladimir(写真左) の方はモスクワ出身。壁崩壊後ベルリンにやってきた彼はドイツでは有名な若手小説家でもあり、 イベントと同名の小説の他多数の小説が出版され、ドイツの新聞や雑誌にも定期的に寄稿しています。 (ゲーテ・インスティテュートのドイツの本紹介にも載っていました! ここに“RUSSEN DISKOといういかがわしい催し物”って書いてありますが・・) 愉快でノリノリなおじちゃんで、カメラを向けるとありとあらゆるポーズを取ってくれ、歌うわ踊るわ!こんなノリの良いロシア人は初めてみました・・。
Yuriyは独立ウクライナ初のFMラジオ局、マスターラジオでDJをつとめ、バンドではギター、ベース、ハーモニカを演奏。別のラジオ局では音楽、変な朗読と未来的な料理レシピを紹介する番組をやっていたとか。 99年に2人はベルリンで出会い大量の音楽を集めているコレクターとして意気投合。
KAFFEE BURGERの持ち主に、『そんなにたくさん音楽集めてるんだったら、イベントをやってみたら。きっと誰かが気に入ってくれるよ』とすすめられ、このロシアンディスコを始めたところ、大当たり。いまやアメリカ、イタリア、などにも出張してイベントをこなす彼等ですが、99年の11月から始めたこのイベントは1月2度、必ず行っているのだそうです。




ここの選曲はすべてロシア語のポップ。『ロシアからだけでなく、ウクライナとかすべての旧ソ連圏の音楽。ロシアンレゲエ、から民族音楽まで』。 12時をまわり、会場に人がぎっしりと集まって踊る雰囲気になってきたくらいでコサックダンス調なノリを入れ、会場みんなで手拍子なんていうシーンもあったり、 マイクを持って直に歌ったり、とにかく異常な盛り上がる!!ノリが暖かく、かつ、踊る!踊る!って感じなのですが、民俗調というか、独特。 縦のノリではなく、横、とくに腰、足首がみんなノリノリ。
そして客層も、けっこう40〜20代まで幅広く、服装もTシャツにジーパンから、シックなワンピースまで様々。 そして、ロシア人をけっこうみかけました。 『政治家から、パンクス、詩人やサラリーマンまでありとあらゆる種類の人たちが来てくれるところがここでやるのが楽しいところさ。 ここで始めた時からのお客さんもいるし、いつでも良い雰囲気でやれる』とYuriy。
そして、そのバックに流されているのはすべてロシア50〜80年代のアニメのビデオ。これがまた面白い!! Wladimirが自分のこどもの為に集めていたものを流しているのだそうです。今日は皇帝と魔法使いの出てくるビデオでした。
しかしロシア音楽ってこんなにいろんな種類があって面白いのか!と感激。そして、こんなイベントにたくさん人が集まり盛り上がるベルリンはやっぱり良い! と今さら再確認。耳に面白い、目に楽しい、身体が踊りだしそうになる素敵なイベントでした。

*付足
Wladimir Kaminarは、この本、そしてイベントで押しも押されぬ人気作家の地位に上っていきました。最近は妻のOlgaさんと共同で書いた料理本なんかも出ています。 今も色々本を出していて、積極的に『ロシアン・ディスコ』イベントも行っているよう。どちらかというとベルリンではなく市外、国外への出張もあるようで。 この開催地、カフェ・ブルガーでは、ハンガリーなどのイベントもあるようで、東欧づいています。最近は全然行ってないけれど、ちょっとまた、覗いてみたいですね。 (2007年5月筆)


Russen Disko: www.russendisko.de




画像、文章の無断転載を固く禁じます。
All Rights Reserved, Copyright(c) by Hideko Kawachi