ドイツで春の訪れとともに祝われる、イースター。3月21日以降の最初の満月の後の後の日曜日が、イースターの日曜日。 クリスマスと新年が終わると、チョコレートでできたウサギとともに、HARIBOのイースター限定シリーズがスーパーのお菓子コーナーに並び始めます。
今回、イースターのグミをチェックしながら気づいたのですが、 HARIBOのライバルである、グミ会社Katjesがイースターやクリスマスといったイベント限定のデザイングミ合戦に、まったく参加していないんですね。 ワールドカップの時だけは、女子サッカーチームのスポンサーをやっている関係で、ラクリッツ入りのサッカーグミを出していましたが
サッカーグミ
イースター関係のものはまったく見当たりませんでした。
さて、HARIBO。最近、ちょっとだけ、新製品のデザインにネタ切れの匂いを感じます。 今年のイースターでは、かなり色々な種類が出ていて最初はびっくりしたのです。
・・私が見つけただけでも、毎年みかける『Goldhaeschen(定番の熊グミをうさぎに変えたもの)』の他、 『Hasiland』『Osterkorb』『Ostrmix』『Osterspass』『Ostermini』『Osternest 』・・・。 ハリボさん頑張ってる!!と思ったのもつかのま。よくよく観察してみると、中身はあまり変わらなくてミックスを変えたものや、袋を大きくしただけのものだったり・・。 ちょっとがっかりもしましたが、ディティールへのこだわりはやっぱりハリボ。
他のブランドと比べると、その差はさらに明確になりました。


HARIBO、Katjesに続くドイツのグミ会社Trolli。おもにグロ系(目玉のグミとか・・)駅の自動販売機売りでよくみかけますが、 Katjesほど『会社のコンセプト』を明確にうちだせておらず、色々デザインにこだわっているようでありいながら、HARIBOと比べると 真似っこ、バッタもの、感がぬぐえない、微妙な立ち位置のブランドです。
値段が、他の2社に比べて安価。袋を開けたとたん、フルーツ消しゴムのような香りが強烈に漂う、駄菓子っぽさ。 そして、何をつかっているのか、どのグミも、妙に、むにゅむにゅした歯ごたえをしています。 日本のグミは、ドイツのグミと比較して、総じて柔らかい感触。しかし、このTrolli社のものは柔らかいだけでなく、歯にくっつき、ねっとりねばねばです。
クリスマスグミ、のところでも、『バッタもん』と書いていますが、Trolliは、デザインという点において、HARIBOの真似が大好き。 イースターのグミも、パッケージ、内容ともに驚く程似ています。しかし、よーく見るとすっかり似ているようでさっぱり似ていないのに驚かされます。ある意味、『愛すべきまがいもの』なのです。
パッケージのモチーフは『卵が入った籠を背負ったうさぎとひよこ』で、ほぼ同じ。ちょろりとだした出っ歯や、うさぎの前髪と胸毛のあたりがしゃわしゃわした感じもよく似ています。 決定的な違いは、Trolliのはなんだか『かわいげが無い』ということでしょうか・・。 いや、ヒヨコはなかなか可愛いと思うんです。でも、うさぎ・・・眉毛は濃いわ、ヒゲはなぜか剃ってあって、剃りあとが青々しているわ、で、どうもおじさんぽい。籠の中の卵も、毒々しい模様に彩られています。



しかしこの『Trolli』社『Osternest』のグミ。『HARIBO』の『Osterkorb』とだけ比較した場合、かなり頑張っている感じが見えてきます。
上段のものが『Trolli』のもの。グミ本体が柔らかいため、全体的にアウトラインがくっきり出ていない感はあるものの、左端のヒヨコなど、本家『HARIBO』にかなり迫っているのではないでしょうか!! 下段の『HARIBO』のヒヨコのほうが、くちばしが立体的で3枚ある羽根がくっきりしていて、お尻のところにもちょっと毛羽だちがあるなど、細部が表現されています。 しかし、この似方は尋常ではありません。微妙に大きさが違わなければ、同じ型を使ったのでは?と思ってしまう程。グミにコピーライトがあったら確実にひっかかっているでしょう。 惜しむらくは羽根。『Trolli』のほうは、ぬらっとしてて、羽根というより水かきっぽい仕上がりです。
うさぎについては『Trolli』に軍配があがりました。『HARIBO』の方は動きが固く置物っぽいのですが、『Trolli』の方はちょっと擬人化した動きで、卵を持って飛び回りそうです。 ただ、何度も言うようにグミが柔らか過ぎで、一袋の中で1つくらいしか、形がはっきり出ている物がありませんでした。 後は、2つのグミがくっついてしまっていたり、部分的にとろけていたり・・。毒々しい緑色などが裏面のマシュマロに溶けて、あまり美味しそうではありませんでした・・。
小さめのヒヨコが2羽くっついた『Trolli』オリジナル?型も、発想はすごくかわいい! もっと形がはっきりしていれば、紐でつなげて、首飾りか、ウィンドー飾りにでも出来そうなのに、ぬらっとしているので、可愛さ半減。むくむくしたペリカンはなかなか可愛いです。






でも、ここで終わらないのが『HARIBO』の底力。
ファンを裏切らない、妙なデザインもあるのが嬉しいです。『Osterspass』と名付けられた、300gお徳用パック。これには、ハリボ・デザインの粋がぎゅぎゅっと集められていました。 まずは、アニメっぽいうさぎ4種。右から、卵が入った籠を背負った半ズボンのウサギ、ファンシーな女の子ウサギ、卵に色を塗るウサギ、ギター・ウサギ。
1つ1つ、凝りに凝っています。まず、ウサギ本体が『Osterkorb』とはまったく違う感覚で仕上げられています。 アニメキャラのような、くりくり目玉に丸いほっぺた、小さく微妙に尖った鼻。足も3つ指がどれもぷくっとしています。
小物のディティールの細かさに涙が出そうです。どうせ口に入って、胃袋で消化されてしまうだけの物だと言うのに、なぜ、ここまで気合いが入っているのでしょう!
左端のウサギが背負っている籠は、編み目の立体感(両端が次の端の下に入り込んでいる感じ)まで表現されています。半ズボンはコーデュロイ素材でしょうか、ちょっと山男風です。
個人的になかなか気に入ったのが女の子。懐かしのハウスアニメ劇場を思い出すファンシーなドレス。 裾レースだけでなく、よくよく見ると、首周りにもひらひらしたレースの襟がついているのがわかります。 ボンネット帽には葉付きのバラの花がさされ、手にも花。襟、スカート、で皺の立体具合を変えてあるので、素材が違う感じがするのもすごい。
一見ふつうな卵に絵を描いているうさぎも、絵が微妙に立体的になっていて、筆の穂先に毛の筋が入っていたり、ギター・ウサギのギターの弦が微妙にあったりするのも泣かせます。
そして、そのウサギたちに混じって、『食べる芸術品』とでも言えそうな、ブローチにでもしたくなりそうな、花束や籠入りのイースタエッグが入っています。 イースターエッグは、籠の立体感と、2次元の中で、卵の立体感を表す、表面加工がすごいです。
そして、マシュマロのような食感の『怖・古めかしいウサギ』も。教会とかでみかける古い絵画や彫刻のような、奇妙にリアルさがあるため逆にコミカルに見える、あの感じ。 目玉と、毛並みを表現しているのであろう、ぶつぶつが怖い。
砂糖の塊のような、味の無い卵型の物体(グミでもマシュマロでもなく、砂糖をカラーコーティングしただけの不思議な食べ物)と、 つぶつぶ砂糖をまぶしたゼリーと、もう1つ、タッチの違うウサギのグミ(裏面にマシュマロ付き)が入った、かなりお得なセットでした。さすが、普通の袋より多めの300g!
今年のイースターグミの中で、高得点をマークした物の1つです。
プレゼントにぴったりのミニミニセットや、マシュマロ付きのグミ、苦手な、砂糖付きゼリー・・まだまだ『HARIBO』のイースターは終わりません!
イースターその2に続きます。



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