グミばかり食べていても、ベルリンの味を味わうことはできません。今回はオリエンタル・ベルリンの雰囲気を味わう“ファラフェル”のお店、Habibiを御紹介。

さて“ファラフェル”とは?
ヒヨコ豆(ガルバンゾー)を潰し、スパイシーに味付けして作ったコロッケのことです。上写真の茶色くよーく揚がっている丸い物体がそれ。これをトマト、キュウリ、タマネギ、青トウガラシの酢漬けやなにかと一緒にピタパンにはさみ、胡麻ソースかマンゴーソースをかけたサンドイッチはボリュームたっぷり。(2.5 Euro 上写真右)これを昼に食べれば、夜まで元気いっぱいでいられること間違いなし。豆だからでしょうか、とっても腹もちが良いのです。
“ファラフェル”を出す店はベルリン中にありますが、真ん丸の揚げたてが常にあり、昼ともなれば大行列、御飯時で無くても活気のある有名店がココ、Habibi本店。今や支店を5つも抱えていますが、やはりNollendorf Platz駅に近い、本店が一番人気。忙しい日のお昼に、と掴んですぐ出て行く人、友だちと来て皿盛りをつつきながら無料のお茶(上写真左上)でおしゃべりの人、お店の人の友だちのヒゲともみあげが立派な、アラブ人らしき人達の集団・・・。始終ここちよいざわめきがあるお店ですが、そこに飛び交う言葉は多様。
“ファラフェル”以外にも、メニューには羊肉のケバブ(下写真、お兄さんの左後ろの茶色い固まりがケバブ用の羊肉。この固まりは常に回転、まんべんなくこんがり表面が焼き上がると、1m以上もあるナイフでちゃっちゃっとスライス)サンドや、様々なアラブお菓子、フムスという豆のマッシュみたいなものや野菜揚げの盛り合わせなどもあり、店内には様々な言葉だけでなく、様々な匂いも漂っています。
でもやっぱり一番美味しいのは“ファラフェル”。ぎっしりしたコロッケなので、パンにはさむ時には軽く叩いて厚みを潰してから渡してくれますが、それでも食べる時には口を最大限に開けて、かぶりつかねばなりません。このかぶりつきも満足感と美味しさにつながります!!  ・・・・が、私の食べ方が下手なのか、かぶりつくと必ずピタパンが破れ、とろ〜りと胡麻ソースがたれ、包み紙が破け、服にシミ。あまりにしょっちゅうこぼすので、私は最近、皿盛りを頼むようにしています。(3 Euro 上写真左)
このファラフェルに合わせて注文したいのがオレンジ・人参のミックスジュース。フレッシュジュースなのですが、人参は2〜3本。オレンジも2個使った密度の濃い味わいは、ビタミン不足に効きそうです。
今日はボリュームたっぷりのものをガツンとお腹に入れたい!とか、ベルリンに友だちが来て、一緒に散策してお腹が減ったが予算は少なく!という時は必ずココに足を運びます。
何度も訪れてしまう、この店の魅力はもちろん美味しい“ファラフェル”にもありますが、店の雰囲気にもあると思います。店内にはアラブ音楽?トルコ音楽?どこの国の音楽とははっきりわからないですが、オリエンタルな音楽が流れ、アラビア文字が壁を這い回る内装。あまりドイツ語は上手でないけど、サクサク仕事をこなす、顔の似たお兄ちゃん達(支店のどこに行っても、同じ人が居たり、非常に似ている人がいるのでどうも親族経営かと思われます)。たまに暇だと、同じ黒い目、黒髪の私に親近感を持つのか、『どこから来たの?』『日本語で“ダンケ”、“4ユーロ”ってなんて言うの?』とか話し掛けられることもしばしば。そして、他のベルリンの一般的なレストランに比べて非常に明るく(他のお店は間接照明、ロウソク照明が多い)他のちょっとしたインビス(軽食屋)より暖かい感じがし、集まる人達の顔も色々ながらどことなく明るいので、お腹だけでなく、気持も満たされて来ます。

この店は普段日は朝は11 時から、夜はなんと4時(朝?)まで、週末、金曜日と土曜日の夜は5時まで開いています。金曜日、仕事や学校が次の日に無いというわけで夜中まで騒いだりおしゃべりをした人達が“お腹減った〜〜〜〜〜!”、平日にはタクシー運転手が“もうひと頑張り”、夜中に行ってもにぎわっています。
朝には大人が抱えられないほどの大きな固まりだったケバブ用羊肉も、12時を回ればもう、ほとんど削られ痩せ細り、ファラフェルものんびりと注文に応じて揚げてくれたりします。
冬ともなればとっぷりと暗くなるベルリンの夜中、ぽっと暖かい光を放つこの店、蛾が電球に集まるように、というとロマンがないのですが、ふと足が向き、また行きたくなるお店なのでした。


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Habibi: U2 Nollendorfplatz ----- Winterfeldplatz 横





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