日本に三週間一時帰国をしていました。そこで見つけた、グミの本場ドイツに負けないキッチュなグミ、そして日本ならでは美味しいグミ達を御紹介&ドイツと比較してみることにしました。日本のグミは一般的に軟らかめの歯ごたえという印象でしたが、実際のところどうなのでしょう?そしてまた、日本グミ界の流行の味や傾向なども見ていきたいと思います。
日本のお菓子全体にいえることですが、まず“形やパッケージが凝っている”というのがあげられます。例えば日本に多かった美容系のグミ(“美白時代”、“美肌主義”等)のパッケージは化粧品っぽいパステルカラーとメタルを部分使いしたデザインだったり、和風味のグミは和紙のような表面加工を施してあったり。
HARIBOやKatjesのパッケージが常に同じようなデザインを使用しているのと異なり、日本のグミはとにかく趣向を凝らしています。その代表といえるかなあと思うのがキッチュなパッケージの味覚糖、江戸前おすしグミです。

このおすしグミ、貝柱、えび(右上)、いくら(左上)などのネタ部分がフルーツ味のグミでできており、シャリ部分はヨーグルトソースが入った柔らかいマシュマロ。マシュマロとグミの味があまりマッチしてないのが残念ではありますが、何せ味より見た目重視。イクラのぷちぷち感、えびのしっぽのディティール、シャリ部分のマシュマロの皺々具合はお米の粒を表現しているようで二重丸!!
いくらを表現するならオレンジ系の色で!とか希望はありますがとりあえず見た目は★★★★★。見た目どぎついドイツグミ達にも負けていません。
グミ部分はかなり柔らかくよくある日本のフルーツグミぐらいの感じです。(歯ごたえがちょっとあるけれど噛み切るのに力が要らない。)しかし表面に薄くコーンスターチがコーティングがしてあるところはちょっとドイツグミを思わせます。


日本のグミは一般的にぐんにゃりしているという印象でしたが今は単に柔らかいといっても様々な食感のものが出ている様です。例えばカンロのピュレグミ(左上)。これはペクチンを増粘材としていて、ねっとりした歯ごたえです。柔らかくはあるのですが歯で噛み切り易く噛んだ後は歯にちょっとまとわりつきます。周りにはしゃりっとした酸っぱいパウダーがまぶされ感触に変化をつけています。
おすしグミシャリ部分(右上)は非常に柔らかいのですが、上記のようにコンスターチコーティングによってさらりとした感触でコーティング部分はちょっと固めです。ドイツグミのコーティングは蜜蝋なのでもっとがっちりした印象ですが、このシャリ部分は柔らかいけれど噛んだ後に歯にくっつかず食べ易いです。マシュマロとヨーグルトソース部分がふにゃっネトッとしているのでそれとのコントラストかもしれません。


さて柔らかいグミばかりかと思っていた日本のグミに新風を吹き込む(?)味覚糖のシゲキックスと梅すこんぶぐみ。どちらも噛みごたえ十分で、シゲキックスの方はハードな噛みごたえがカラダに刺激を与え、梅すこんぶぐみの方は噛めば噛む程味がでる、というふうにその食感をいかした商品開発をしています。
以前あったシゲキックスはもうすこし軟らかめでカリカリしたコーティングの中から固めのグミが出てくるというものでしたが、今のシゲキックスはさらに固くなり噛み切るのは一度ではとても困難。表面はポロッと崩れるコーティングがされています。梅すこんぶグミにいたっては歯が痛くなる程噛まないと形は変わりません。でもしばらくなめていると柔らかくグミらしくなってきます。
この二つのグミの固さの秘密はゲル化剤として使われているアラビアガムだと思われます。普通のグミではここはペクチン(ジャムなどを固める素材)を使っています。


ぐっと噛めば潰れ、周りのコーティングの味がまず舌に広がってくるシゲキックス(左)と力一杯ピンセットで潰そうとしてもまったく形が変わらない梅すこんぶグミ(右)。こちらはまず噛むと梅味、なめていると昆布パウダーのじわじわとだしのきいた味わい。どちらもドイツのグミより小ぶりで口にぽいっと放り込み噛み噛みする感じです。シゲキックスはミニボトル型、梅すこんぶはそのまま何かのアクセサリーに使えそうなくらい可愛いらしい淡い紅色の小梅型。
日本のグミはドイツのグミより歯ごたえ、コーティング、味そしてパッケージなどトータルに考えられ、製作販売されている気がしました。そして一番ドイツと違うのがその内容量です。シゲキックスは32g、梅すこんぶグミ25g、おすしグミも個包装で大きい袋の割には内容量は34gと少量。ドイツグミが普通200〜250gというのに比べ大体10分の1の量ですね。いくつかのコンビニエンスストアでHARIBOのお馴染みコーラグミを売っているのを見かけましたが、どれも50gくらいのミニパックでした。
日本では少量をじっくり味わおうという食文化なのかもしれません。だからこそ見た目やちょっとした味わいにも力を入れて開発しているのでしょう。また流行というものが素早く移り変わるので、常に新しい食感やデザインで目をひかなければならないのです。変わってドイツは量。量があるので手づかみでむしゃむしゃ。あまり繊細な形や色にしても気がつかれないのかもしれません。また味や香料に関してはその国各々の子ども時代からの懐かしい味わいというのがあり、私にはきつくて食べられないヨーロッパのサクランボ系香料の入ったお菓子なども美味しい、美味しいと良いながらこちらの人は食べるのです。それと同じように、“梅すこんぶ”などのような日本ならではの味わい、いかにもお菓子といったフルーツ香料の味などはきつくもありましたが案外私の舌にはすっと馴染んでしまいました。(ドイツ人では日本のお菓子の香料はきつくて美味しくないという人は多くいますが)日本グミの美味しさ&楽しさを再発見した今回の一時帰国でした。



----------------------------- guten Appetit! ------------------------------





画像、文章の無断転載を固く禁じます
All Rights Reserved, Copyright(c) by Hideko Kawachi