ドイツの食玩コーナーで目立つ存在といえば、キンダーサプライズ!イタリアのフェレロ社の製品ではありますが、多分売上げはドイツが一番。 前回は“ロード・オブ・ザ・リング”の特別バージョンを御紹介しましたが、今回は、私が持っている中でも特に気に入っている、入れ物の部分を生かした玩具にスポットをあててみたいと思います。
キンダー・サプライズ、ドイツ名、キンダー・ウーバーラッシュングは、卵型のミルクチョコとホワイトチョコが2層になったチョコレートの中に、これまた卵型の高さ5cm程のプラスチックの入れ物が入っており、その中に玩具が入っています。その入れ物の部分は大抵右写真のような黄色いでっぱりのある卵か、つるつるしたちょっと茶色い卵型です。この茶色の方は、ドイツでは紙のパズル等が入っている時に使われていて、これが出てくると、私はがっかりしてしまうのですが、一昨年イタリアで買って来た本場のキンダーはどの玩具もこの茶色いつるりとした卵の中に入っていました。
しかし、たまに、この黄色でも茶色でも無い、カラフルな卵や、ギザギザのついた卵が出てくる事があります。それは、卵の入れ物部分も使って組み立てる、アイディアモノの玩具なのでした。

黄色い卵(左)はドイツの定番。
   茶色い卵(右)は
ドイツでは紙パズル使用

上写真を見て下さい!!入れ物部分の卵にギザギザがついており、卵をあけると入っている小さな部品の裏についている溝にうまくはめられるようになっていて、それをつけると、かなり大きな玩具となるのです!しかも、上下についている丸い出っ張り部分にも普通の卵にはついていない、ネジ状のでっぱりがあり、そこに部品をつけたり、もしくは、卵同士で積木のように重ねたりすることも可能。私がこの種類の玩具で最初に当てたのは左下の、宇宙ステーションシリーズ(2000年)でしたが、目からウロコのデザインには本当に感激しました。玩具自体はそれほど、面白くはないんですが(笑)
この入れ物を使ったバージョンの特徴の一つに、かなり大きな物が作れる、というのがありますが、その神髄とも言えるのが、70年代後半、キンダー・サプライズ発売当初のシリーズ、左上の宇宙人のシリーズです。これは何と全長10?B弱。普通の玩具が5~6cmなのに比べ、本当に大きく、同じシリーズの宇宙人達を背中に乗せる事も可能です。(他の宇宙人の足に溝があるので)
ま最近のものでは、宇宙ステーションシリーズのタワーが12cmとイイ勝負をしています。こちらは形がイマイチ工夫が足りないのでそこが残念ですが・・。この、2000年に出た宇宙ステーションのシリーズは“卵部分を使ったデザイン”がテーマだったのか、ステーションにいる人形とか以外はほとんどこの卵を生かした作りとなっていて、例えば右下の飛行機も同じシリーズです。ちょっと胴体が丸っこ過ぎて、飛行機という観点から見るとちょっと・・なデザインではありますが。右上のロボットのシリーズも卵部分を使ったシリーズで、確か2002年のモノ。残念ながらこれしか持っていないのですが、単に卵型として使うだけでなく、卵半分に足を付けた形の玩具もあったようでした。


この卵は入れ物になっているので、必ず半分に割れるようになっています。そこを生かして、割った半分だけを使うシリーズも沢山でています。その一つが、私のコレクションの中でベストデザインと言っても過言ではない、やじろべえのシリーズ。
これが入っている卵は半分が水色/緑/青になっていて、開けた時、なんだろう?と思いました。中に入っている細長い部品を組み立てて行くと長〜〜い足に、小さな体、巨大な足でパースがついて、ますます長い足に見えるデザインの、登山姿の男の人がピッケルを持っている姿が。このピッケルを、卵半分の上に取り付けた石部分に引っ掛けるとゆらゆらとゆれるやじろべえのできあがり!
足の大きさと体の対比といい、ピッケルをひっかける部分といい、卵部分がまるで入れ物を生かしたというよりは、このために考えられたかのように見えるグッドデザイン。しかし、キンダーサプライズ、年間150種類を新しくデザインしている人をお抱えで雇っているのでしょうか。一つ70円弱の食玩にデザイン料が入っているとも思えないのですが、いったいどういったデザイナーが、日々頭を悩ませながら、アイディアを考えているのでしょうか。またそのアイディアで作られた玩具が卵型の入れ物にすっぽり収まるかどうか、子どもでも作れるあまり難しく無い組み立てにする工夫も必要ですし、膨大な量の試行錯誤が、この小さな卵の中に詰まっているのだなあと思いました。




----------------------------- guten Appetit! ------------------------------




画像、文章の無断転載を固く禁じます
All Rights Reserved, Copyright(c) by Hideko Kawachi