先日、スイス、チューリッヒに行ってきました。 スイスは、空港を降り立った瞬間から、ドイツとまったくデザインセンスが違うな、と実感させられる国。 空港に、駅に、貼られているいたってふつうのポスターが、洗練されたシンプルで色使いなどがよく練られたデザイン、グラフィックなのに驚きます。 こんなに近い国なのに、まったく違う美的感覚なんだなぁ、と。
そして、ベルリンに比べ、非常に生活水準が高い街であるチューリッヒでは、普通のスーパーや、ちょっとしたお店も品揃えが多く、大感激! そんなチューリッヒで見つけた、ドライフルーツやコーヒー豆、小さなお菓子をずらりと並べるお店で、 かわいらしいクリスマスクッキーを発見しました。 繊細なデザインが美しい、はちみつをたっぷり使ったクッキーは、 チューリッヒの伝統的なクリスマスのお菓子だそうで、薄くて固く、穴があいているのでそこにひもを通してクリスマスツリーの飾りにすることもできます。
今回は、そのお菓子Tirggelを御紹介。

左上から、雪だるま、煙突掃除の人(上から下まで黒尽くめ、シルクハットをかぶり、はしごと煙突掃除用の金ブラシを手にした煙突掃除人に道で出会うと、その日は良いことがあると言われています。冬場にみかけるラッキーシンボル)クリスマスツリー、ラクダに乗った三賢人のひとり。大きさはタバコの箱くらいの大きさ。下はラファエロの天使みたいなポーズをとった天使、三角帽をかぶったゆかいなおじさん風の三日月、蒸気機関車、しましまネコ。こちらは2回り程小さめ。まさにツリーの飾りにぴったりの大きさ。
そんなに大きくないのに、どれも細い線で細部まで表現されているのがすごい!例えば、雪だるまの口の部分とか、ふつうだったら、一本の線で表現してしまう所を、わざわざ小さな点を並べたり、ちょっとした顎の線や、下部の柔らかい線で立体感や雪の質感が伝わるように工夫してあったり。クリスマスツリーも小さな◎がいっぱい連なり、きらきら光る飾りを感じさせるのがすごい!よーく見ると星形の飾りや、丸い飾りも。蒸気機関車の車輪部分、丸窓のしたの小さなドアにハート型がついていたり、煙突掃除の人の持っている金ブラシの先についている線や、ラクダに乗っている賢人の洋服の模様、敷物の総飾り、手に持っている壺など、細かいところまでまったく手抜きがなく、ほんとうに、1枚の食べられる芸術品!!作った人の、このクッキーへのこだわりと愛情を感じさせます。



このTirggel ー 薄く、はちみつをたっぷり使った固焼きクッキー ー の歴史は非常に古く、HPによれば、文献として残されている最古の記録が1461年のものだそう。これを作っている会社の創業は1840年。昔は手でこね、手で型に抜いていた作業も、現在は機械化され、型も木型ではなく鉄の、シリンダー状の型が回転し、生地をどんどん型抜きし、350度で焼かれていきます。
レシピはいたってシンプル。小麦粉、厳選された本物のはちみつをたっぷり、砂糖、植物性油脂、塩をちょっと。そして後は企業秘密。口に入れて、歯を立てただけでは折れないので、噛み切るようにすると、ちょっと柔らかめにぼりっと折れて、口の中に、ちょっとはちみつの甘さを残しながら、舌先でとろけていきます。すっごく美味しい!とは言いがたいけれど、優しい味わい。
しかしあくまでも、見た目で勝負。会社のHPを見ると、様々なモチーフのものが紹介されています。面白いのは、オリジナルの広告を入れたTirggelを注文できたりもすること。名刺サイズ、ポストカードサイズのクッキーに、名前や住所、会社のロゴなどをいれられるよう。一番安くても、名刺サイズの100枚注文で1つ6フランからと、決して簡単に注文はできませんが、オリジナルのクリスマスカードや、年賀状なんかを作ってみるのも面白いかも。薄いし、軽いし、日持ちもするし、お土産にも最適!
ドイツのクリスマス飾りは、木で作った可愛いものは、それほど安くないので沢山は買えないし、安っぽいのはほんとデザインがかわいくないし、で、クリスマス飾りに毎年困るのですが、今年はこれで決まり!素朴な茶色も良いし(赤いリボンを結んで飾りにすればツリーの緑に映える!)、デザインも可愛いし、種類も沢山あるし、値段も安い!そして、最後は食べられる!

来年のクリスマスはスイスに行かないかも知れないけれど、郵送を頼むか?と今から考えているほど、すっかりお気に入りになってしまいました。

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Tirggel:HP




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