『ベルリンはホフ(中庭)文化!』と良く言われます。 道をただ歩いていても、ベルリンの醍醐味、面白さはなかなか味わえません。小道にちょっと入ってみると、そこに広い中庭がひろがり、ちょっと珍しいお店や、地元の人が集まるカフェなんかが見つかること受け合いです。
さてそんなホフの中でも、ちょっと洒落ていて、静かなので、私のお気に入り散歩コースの一つなのがHeckmann Hoefe (ヘックマンヘーフェ。ヘーフェというのはちなみに中庭(Hof)の複数形)。 今日はそこを通るたびに気になってしまうとっても甘いかおりのする一角を御紹介。

それは、伝統製法を受け継ぎ、たった2人で飴を作り売っている小さな飴のお店、BONBON macherei (ボンボンマッヒャライ)。
右写真がHjalmar Stechner さん。飴作り担当。売り場に立っている笑顔のステキな女の人は共同経営者であるKatja Kolbe さん。
この小さな飴作りのお店の歴史は1992年に、飴の卸業者とベルリンの菓子屋チェーンが崩壊、引き渡しとなったことから始まります。
1994年、ブラウンシュバイクにある伝統製法の小さな飴工場が潰れてしまい、この伝統製法を受け継ぐ人間がいないことを耳にしたこの2人は、この、風前の灯のオリジナルレシピを学び、機械を引き継ぎました。
そして1995年、2人は古いガレージを使ってこの伝統製法の飴を細々と作り始めました。
1998年、作り方を見せながら販売するためのお店、オープンキッチン+小さな売り場のお店が実現。しかし、ビルの改装に伴い、お店は立ち退きをせまられることに。
そして2000年、やっとこのHeckmann Hoefeにお店を持つことができ、無事、腰を落ち着けて美味しい飴を作り、売り出すことができたのでした。



さてここでどんなふうに飴が作られているのか、見てみましょう。
香料を入れた砂糖水をぐつぐつと煮立て、冷やしながらさらに砂糖をよーく練り込んで飴の本体を作ります。その後も香料などが均一に混ざるように、よく練ります。
それから型が凹プリントされた飴の機械にそれを通して、ぼこぼこと形のついた長い飴を切り離し(下左写真)ザルを使って珈琲豆を選り分けるな感じで、宙に浮かしながらひっくり返します。
さらに、模様をはっきりさせるために砂糖水をかけながら、金平糖を作る機械のようなものでくるくると回転させます(下右写真)。そして、仕上げにくっつかないように、長い飴を切り離した後にでた細かい飴のクズをまぶすようにして、できあがり!できたて、まだ暖かい飴をもらって食べてみると、なんとも言えない味が口の中に広がりました。

このオープンキッチン、金太郎飴の実演販売を思わせる作りで、作りながらちょこちょことこっちに味見をさせてくれたりもします。
ここにしか無い、ベルリン土産にぴったりの『ベルリン 五月の葉』は、ベルリンの夏の風物詩の甘いビール“ベルリナーヴァイセ”の緑のシロップ、ヴァルトマイスター(クルマバソウ)の味。この他にも、あおりんご、レモン、プラム、木いちご、ブルーベリー、チョコレート、クリームキャラメル、蜂蜜などの他、グリューバイン味、麦芽/モルト味などいかにもドイツっぽいものモあり。
その他、喉飴ミックスなどもあり、乾燥してほこりっぽいベルリンの空気に喉をやられたらここに立ち寄ってみるのもいいかも知れません。
どの飴もちょっと甘味が強く、懐かしい味がします。100年以上前から続いている伝統製法、子ども時代の想い出の味を伝えたい、とKatja さんは語ってくれました。
飴だけでなく、この、様々な凹模様のついた機械(右写真)を見るだけでも面白い!大きな車道側の細い小道から漂ってくる甘い匂いを辿って行くとあらわれる、半地下の小さなお店。頑張って伝統製法を伝えていってほしいものです。




画像、文章の無断転載を固く禁じます。
All Rights Reserved, Copyright(c) by Hideko Kawachi