さて、昨夜から今朝にかけて、(18時〜2時)
ベルリンの、美術館や、美術協会(Verein)など、コマーシャルギャラリー以外の様々な美術団体が参加する“美術館の長い夜”というイベントが行われていました。
今回が13回目、イベントは夏と冬、1年に2回行われます。このイベントは7年前から始まったらしいのですが、その当時、こういったイベントを行うのはベルリンが世界で初めてだったそうで、
ベルリンでの成功をうけ、その後、ドイツの他の都市や、他の国などでも追って行われてきたとか。
ベルリンは、もともと、週日でも深夜バスは1時間に2本ほど各所を走り、週末、金曜日土曜日は、真夜中でも必ず1時間に2本は市電が走り、地下鉄も部分的には30分おきには走る、夜の交通網が広いところ。広いベルリン中にある、様々な美術館を夜中に散歩できるなんてのもやはり、この利点あってこそかなあ、なんて思うのです。
もちろん、普段からの深夜交通網の他、このイベントに合わせたルートが作られていてそのルートを10分、20分おきに回るバスが出ています。このバスは一方向だけなので、ちょっと乗り換えが面倒ですが、今回は10ルートあり、全てが同じ、テレビ塔の近く、市庁舎前を出発点としていたので分かりやすかったです。
上図のようなガイドはチケット売り場や美術館、博物館などで無料配付されていて、これには各美術館や博物館の場所、イベントのタイムスケジュールが載っています。この日の新聞にもルートが紹介された特別版が挿入されます。わたしもこのガイドを読み、自分なりのルートを作ろうと思ってはいたのですが、量が多い!ベルリンにある146の美術館博物館ほぼ全てが参加しているので全部のイベントを読むだけでも一苦労。
しかし時間が限られているとはいえ、チケット1枚で美術館入り放題、交通乗り放題(ちなみに学生8ユーロ(前は12マルク。ユーロ便乗値上げ)。)は太っ腹。気になっている小さな博物館や、イマイチ行く機会を逃している古典芸術の美術館など、こういう機会があると、ちょっと寄ってみる感じで覗いてみられるのがとても良いです。
あまり有名でない小さな博物館は、これを機に皆に存在をアピールしようと頑張っているようです。

その他、この時しか見られないものや状況があったりします。
その一つが、水族館。中身がいれかわっているわけではありませんが、普段は18時まで。それがこの時だけは18時から真夜中2時まで開放されているのです。1400種、世界最多の動物を飼っているベルリン動物園付属の水族館。
“真夜中の水族館”という響きだけでもなんだかステキで、ロマンチックなイメージでしたが、いざ到着すると、中は大混雑。やっぱり人気があるんですね。しかし真っ暗闇の中、水槽だけがぽぅっと青白く光っているところに人影がうろうろしている様子は、まるでこっちが水槽には入っているかのようで、幻想的でした。
小さな水槽におよぐネオンテトラや、巨大な水槽に泳ぐピラルクー(アフリカ原産の古代魚)、目が半分に割れていて上下が見える魚(日本名不明)、円錐形の水槽を泳ぐくらげにうっとり。時間がそれほど遅く無かったからか、小さな子どもも多かったのですが、彼等も見とれていました。(右写真)
しかし魚といえども夜はお疲れなのか、鮫のいる巨大な水槽の隅っこではぐったりと眠りこけているのも(下写真)。エラが寝息をたてるように規則的にひらひらする様子がかわいらしかったです。


1階の魚のコーナーを見終わるともう1時間が過ぎていました。確かに世界最多を誇るだけの見ごたえ。2階は爬虫類のコーナー。真中にジャングルを模したスペースがあり、真中を橋が通っていて、下をのぞくと、ワニが6匹。完全保護色、ピクとも動かないので作り物ではないかと思うくらいです。真夜中、彼等もおねむ。気持良さそうにべったりと暖かい地面にはりついています。
この爬虫類のコーナーにはカエル、ヘビが沢山いましたが、どれも保護色が多く、全然みつかりません。皆、目を皿にして覗き込んでいます。さらに上、3階には昆虫のコーナーが。図鑑でしか見たことのない木の葉そっくりの昆虫がいて感激。昆虫のコーナーを見終わり、下のお土産コーナーを覗きました。そこには数々の魚や爬虫類のぬいぐるみが。かえるや、へび、カニ、タツノオトシゴまでは普通かなあと思って見ていたのですが、ヒラメまでありました。う、薄い。平ベったいぬいぐるみって初めて見ました・・・・・。目はちょうど中心に。ヒラメ?カレイ?



ドイツの砂糖は何故かこの形をしています。
そんなこんなで水族館で3時間近くを過ごしてしまいました。次は以前の“美術館の長い夜”で面白かった、砂糖博物館へ。
前回は砂糖精製の過程を工場見学し、興味深かったのですが、今回の楽しみはイベントガイドに載っていた“ベルリンのお菓子屋さんが欧米各国のチョコレートを御紹介”。チョコはあまり食べませんが、お菓子を見るのは大好きです。
それから、また行ったらぜひ写真を撮ってこようと思っていたものがあります。それは角砂糖のパッケージ。これは展示というよりデコレーションのひとつとして柱をびっしり覆っているものなのですが、なかなか味わいのあるデザインのものが多いのです。
わくわくしながら博物館に到着すると、長蛇の列。こんなに人気があったのか?!と驚くと、綿飴の販売を待つ列でした。ドイツでも時々お祭りの時にでる綿飴の出店。その他、ドイツではカップ入りの綿飴も売っています。
さて中に入っていくとさっそくチョコレートのコーナーが。胡椒やカラシ入りの変わったトリュフ等を小さく分け、紹介しながら試食してもらい、見事な話術を繰り広げる白髪に眼鏡の上品なおじいさん。目が合うと、にっこり手招き。あれれ、よく行くお菓子屋さんの御主人!彼に試食させてもらい、その後角砂糖のパッケージを見ました。
"砂糖は力をくれる"
左から、リアルタッチの動物がいるシリーズ。ベルリン市のマーク。
サッカーワールドカップ優勝国シリーズ。ハリネズミ君シリーズ。
シュトゥットガルトのガーデンショーのためのもの。


砂糖博物館でお土産の角砂糖と綿飴をゲットし、次はいよいよイベントガイドを読んで期待していた“懐中電灯ガイド”を見に人形劇博物館へ。
到着すると中は60名ほどの大人ばかり。“懐中電灯ガイドツアー”の前のプログラムは大人向けの、ドイツの日常を皮肉った人形劇。思っていたものとは違ったのですが、なかなか面白かったです。
博物館には様々なマリオネット人形、指人形、それから影人形等が。

それらの人形を見ていると、24時に。いよいよ懐中電灯ガイドの始まりです。博物館の明かりが全部落とされ、ぽっとそこに光が。光の中にまずはピノキオが現れ、10本の糸でどうやって自分が歩けるかを紹介してくれました。そしてとことこと歩き回っては、皆に挨拶と質問。『
なんでこんな夜中にここに沢山の人が集まってるの?
その後は小さな王様が出て来て挨拶し、『
ふむ、わたしは今大きな悩みを抱えておるのだ』とその悩み(99個のお城があるのに維持費がない!)を皆に解決してもらおうとします。ドイツの人達はこういったシチュエーョンの時、積極的に参加しようとします。『こんなに小さな王様のお城なんて99個あっても維持は簡単だ』とか『お金持ちの女性と結婚したら』などという意見が飛び交いました。その後は旧東独で1961年に設立され、壁崩壊後つぶれてしまった“ドイツロシア友好”劇場で開発された、非常に簡略かつ使いやすい、手足の先に棒がついたマリオネットが紹介されました。その他にも色々な人形がでてきましたが、暗闇に懐中電灯であらわれる人形達は本当に生きている様でした。
暗闇で程よく眠気も誘われ、帰途につきましたが、今回もこの寒さに負けず参加者は多かったようです。夜のバスも、夜の電車も、いつもの三倍以上は混雑しカタログを持ってうろうろする人たちが道に溢れていました。
前回は記録的に参加が多かったとかで、今回もと頑張ったかいがあったのでしょうか。
次は今年の夏です。

Zoologischergarten/Aquarium: S Bahn/U2,9 等 Zoologischergarten ----- Aruarium, Zoologischergarten隣

Zuckermuseum: U9 Amrumer Strasse / U6 Seestrasse ----- Amrumerstrasse 32

Pupentheatermuseum: U7 Karl-Marx-Allee ----- Deutsche Oper 隣




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