お散歩、と言って目的もなくふらりと出かけて行くことはあるのですが、市場が好きなので、市場が立っていそうな所についつい足が向いてしまいます。朝ごはんもそこそこにでかける朝市では、買い食いがなんといっても楽しみです!
さて、
クリスマス市の濃厚な香りと違って、普段よく行く朝市はどことなくフレッシュな香りがただよっています。
香りだけでなく、『安いよ、安いよ!』『お姉さん、試してってよ、新鮮なオレンジ、スペイン産!』などの威勢の良いかけ声は市場ならでは。 ついついつられて、パッションフルーツやら生アーモンドやら干しメロンやら、よくわからぬ物がカゴの中に増えていってしまうのでした。
ハーブ、スパイス、お茶類が色とりどり、ずらりと並ぶスタンドの写真
ハーブ、スパイス、お茶類を売るスタンド。
ずらりとお茶の缶が並ぶ充実の品揃え。

甘く、カレーの様な、色々な匂いがします。

さて、買い食いの合間に嗅ぐ朝市のフレッシュな香りは、その季節の旬の野菜や果物の香り、ハーブの香り、植木や花束の香り。 チーズスタンドなどは、ちょっと臭い美味しい匂い。魚のスタンドは新鮮なので匂わないけれど、やっぱり何か酸っぱいような独特の匂いが。
何でも触ってしまう私が好きなのは、冬になると現れる羊毛売りのスタンドです。ちょっとケモノ臭いけれど、ふっかふかの羊の毛の敷物は寒いドイツ生活には欠かせません。 買ってすぐは羊臭いこの毛皮も、北ドイツの方からわざわざ市の為にやってくるという、訛りの強いおじいさん曰く、太陽の下にこまめに干せば、ケモノ臭さは飛ぶそうです。 この毛皮、冬になると、小さめのを乳母車の中に皆敷いていますし、バックパッカーの人達がマットの代わりに持ち歩いてるのをみかけることも。
朝市のスタンドは、野菜、花、パン、肉や魚のスタンドはどこでもありますが、その他は場所ごとに違った物を売るスタンドが。 蜂蜜や手作りパスタの店、太陽の匂いがする綿布を売るお店や、枕に入れる蕎麦殻を売るお店、 ボタンやファスナーを売る店、玩具、手作りの陶器、手漉きの紙で作った文具を売っている店が出ている所もあります。

ラクレットチーズを溶かす特殊な機械とチーズトーストの写真。上から熱を出すような作り。
チーズを売るスタンド。ラクレットチーズを溶かして、とろりとかけた上にチリパウダーと胡椒、パセリをのせたチーズバゲットは人気。チーズの強い匂いが漂っています。

木漏れ陽の下のスタンドの写真。
Werder (ヴェルダー)から来るおじさんの店。段ボール手書きの看板、野菜を入れる箱を使った小さく素敵な手作りスタンド。
真中に写っている白い大きなバケツの中には程よく漬かったドイツ名物ザワークラウトがぎっしり。
 ベルリンに来て初めて住んだ家の近くに、朝市が水曜日と土曜日に行われるWinterfeldplatzという広場があり、当時は毎週行っては片言のドイツ語で、売り手の人たちにどこから来たの、どれがお薦め、とか聞いたりするのが楽しかったです。市場では日本では見かけないような野菜やベリー類、ナッツ類がけっこうあるので、食べ方を教わることもありました。
この市場は非常に雰囲気が良いので、今でもよく行きますが、その朝市に、ベルリンから南西方向にあるヴェルダーという農家が沢山ある地域から、毎水曜日と土曜日やってくるおじさんがいます。彼はサッカー場5つ分くらいの広大な農場の持ち主だそうで、そこで取れた苺やリンゴ、キノコは、形はふぞろいだけれど、絶品。ヘーゼルナッツは大きかったけれど濃厚な味わい。
毎週 シュプレーバルト (Spreewald )まで仕入れに行くというキュウリのピクルスとザワークラウト(酢キャベツ)がこれまた美味しい!何かひとつでも買う時に、それをどう料理したら美味しいか、何と組み合わせるとより美味しいかを教えてくれ、おまけまでくれることも。ちょっとはずれに小さな屋台を構え、それほど混雑していないせいか、おしゃべりにもよくつき合ってくれて、疲れている時など、彼と話すと気持が晴れてきます。
その、笑顔で野菜を渡してくれるおじさんの手の皮はお釣を渡される時に触ったらびっくりするくらい分厚く、朝、畑仕事や木の実を摘んだりしてからこの市場に来るから、手のしわは茶色く、爪は黒光りして、とっても魅力的。写真を撮らせて!と頼んだのですが、恥ずかしいから駄目!!と断られてしまいました。というわけで残念ながら写真はなし。機会があったらぜひ、この美味しい野菜を作る手を直接触らせてもらって下さい。

Winterfeldmarkt: U2 Nollendorfplatz ----- Winterfeldplatz




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