クリスマス前に、シュトゥットガルトに行ってきました! シュトゥットガルトはベンツや、ボッシュといった、ドイツの有名な会社の本社がある裕福な南ドイツ、シュバーベン地方の都市。
最近オープンしたばかりのKunstmuseum など、美術館もあり、シュトゥットガルト・バレエ団等も有名で、カルチャーも色々楽しめる。 周辺地区には、ワイン農家や、ミシュランで星をもらったレストランなどもあるそうで、食文化も発達しているらしい。 新しい美術館は当然チェックするとして、さて、他は何をしよう?
この時期、シュトゥットガルトに行くとなれば、クリスマスマーケット!ベルリンにももちろん沢山のクリスマスマーケットがあるのですが、 ジェットコースターや、観覧車等のアトラクション、焼きソーセージ等のいつも食べられる食べ物のスタンド、鍋やフライパンといった普通のスーパーでも買えるものが売っていたり、 もちろんお祭り気分で見ててワクワクするものの、美しい、とかロマンチック、という感じはあまりしません。
しかし、聞くところによれば、シュトゥットガルトのクリスマス市はドイツでも一番美しいと言われ、 スイスや、もちろん日本からも観光バスがわんさかやってくる、ロマンチックなクリスマス市だとか。
クリスマス市は、何はなくとも、ぶらぶら歩きが楽しい!雨がふったり止んだりの天気の中、ブーツにしっかり足用カイロを入れて、さっそく出かけることにしました。

ワラや木の皮でできたふくろう。
本物の枝でできた屋根に
よく合います。


毎年、11月の最後の木曜日、現在は州立博物館として一般公開されているAltes Schlossの前の広場でコンサートを行い 、オープンを迎えるというシュトゥットガルトのクリスマス市。 新しく出来たばかりのKunstmuseumの前、シュロス・プラッツから、Altes Schlossの回り、シラー・プラッツまで、小さなお店が長く連なり立っていました。 途中でなぜか蚤の市が混じっていたり、鍋、靴下、フライパンやさびない包丁等を売っている家庭用品売り場みたいな市があったりもしましたが、 大体が、レープクーヘン(スパイスがたっぷりきいた固焼きクッキー。ハート型で、表面に、アイシングで『私の可愛いねずみちゃん』とか書いてある。)、 シュトレンといったクリスマスのお菓子を売るお店、チョコがけの果物を売る店、クリスマス飾りを売る店、木のおもちゃを売る店、陶器を売る店、 グリューヴァイン(スパイスが入ったホットワイン。カップが店ごとに違ってて可愛い)の店といった、クリスマス市らしいもの。
シュトゥットガルトらしい?というか、ベルリンでみかけないなあ、と思ったのは、車型をした大きなレープクーヘンで、『メルセデス』と書いてある物。 さすが、ベンツのお膝元!
そしてなにより、ベルリンと全く違うのは、いろいろなお店のスタンドの屋根です! ベルリンでは木の小屋のような形のスタンドで、屋根も普通に板を重ねたようなもので、手前に『ソーセージ』とか看板が出ているだけですが、 シュトゥットガルトのクリスマス市のお店の屋根には、それぞれのお店が工夫をこらしたデコレーションをしているのです!
例えば、レープクーヘン等のお菓子を並べているお店の屋根は、もみの木の枝でおおわれ、その上に、ヘンゼルとグレーテルのお話をジオラマにしたものが作られていました。 レープクーヘンで作られた『魔女の家』の前には、美味しそうにお菓子を頬張るヘンゼルと、グレーテル。 お菓子の家の戸口には恐ろしい顔をした魔女がにっこり笑いながら立って、手招きしています。長い鼻と杖、細長い指が、リアルで、甘い招き声まで聞こえてきそう!
クリスマス市なので、定番のクリスマス・ストーリー、キリストの生誕の場面を再現したジオラマを屋根の上にのっけているお店は多くみかけました。 揺りかごをかこむマリア様、ラクダに乗った賢人達・・・。屋根の上だけでなく、屋根のところに小さな窓が取り付けられていて、 その窓の中に、小さな人形を並べているところも。 窓がそのままくり抜いてある店、出窓が開いている店、カーテンがかかっている店等様々で、カーテンがかかっているところは、 カーテンの向こうにいろいろな場面が透けて見えるのが、本当に、誰かの生活をちょっと覗き見しているようなリアリティがあって、面白いです。


ただデコレーションするだけでなく、そのお店で売っているものとちゃんと関係あるデコレーションにしてあるのが、 お店の人の遊び心、工夫を感じて楽しいもの。 ワラのクリスマス飾りを売っているお店の屋根にはその飾りで一杯に飾り付けたクリスマスツリーが立ててあって、木の下にひつじが寝ていたり、 木の細工物を売るお店の屋根には、木で作った動物たちが住む森が作ってあったり。
なかでも、気に入ったのは、左上の写真『クリスマスパン屋』!ニコラウスのパン、シュトレンなどのパンをたくさん並べていたパン屋の屋根には 、大きめの動くサンタ人形が、手に木の枝と鈴を持って立っていて、その鈴をチリチリと鳴らして注目を集めていましたが、 そのサンタの横には、小さな箱のような、ミニ・パン工場が作られていて、そこでも、パンを作るような動きをする人形達がせっせと働いていました。 鉄板で作られたパン用の型?や、かまどもよく作ってあって感心したのですが、お気に入りの理由は、人形。 よ〜く見ると、この人形、バービーのボーイフレンドのケンなんです。日に焼けた爽やかな笑顔に真っ白なパン屋の制服がよく似合っています。
動く人形はけっこう色々なお店の上に設置されていて、例えば、クリスマス用の刺繍したテーブルクロスや、鍋敷きなんかを売っていたお店の上には、 刺繍をする人形がいたり、玩具屋の屋根には、綱渡りをする人形がいたり。

お店の商品そのものは、それほど個性を主張しにくい、似たものが多いので、みんな屋根に力を入れているのでしょうか。 上ばかり見て歩いてしまいます。音が出たり、動くものは、パッと目が行くので、思わず店の方に引き付けられ、あっちへふらふら、こっちへふらふら。 シャボン玉がふわふわ〜と飛んできたのでそちらの方を見ると、玩具屋の屋根の上で熊が、せっせとシャボン玉作り。
かわいい〜!すごい!一日目のクリスマス市巡りは、上ばかりみていたので、お店の商品にはさっぱり目が行きませんでした。 木の玩具や、クリスマスのお菓子を作るための伝統的な木型やロウ型、小腹を満たしてくれる飴がけのナッツなんかも買いたかったのに・・。
というわけで、次の日も再び、クリスマス市へ。
シュトゥットガルトの見どころはけっこうこのクリスマス市のある広場周辺に固まっているので、他の場所に行こうと思っても、 必ずクリスマス市を通らずには行かれず、シュトゥットガルトにいる間中、毎日クリスマス市を見ていました。 午後4時頃、空が暗くなって来て、その暗闇の中にぽぅっと明るく浮かぶクリスマス市はムードたっぷりで、 駅をおり、その明かりが目に入るだけでひきつけられてしまいます。
ぶらぶら歩きながら、上を見て、下を見て。首が疲れるけれど、目に楽しい、シュトゥットガルトのクリスマス市でした。




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