Alte Schoenhauser Strasse


ベルリン、特に東側は移り変わりが激しい街なので、 ちょっと1週間ほど、遊びに行かないと、道の様子が様変わりしているなんてこともけっこうあります。 それが、この街の魅力でもあり、私が、ここに生きたい、と思う理由のひとつでもありますが、 フクザツな気持ちになることもあります。
私が来た当初、2000年には、『これから面白くなりそう』な雰囲気がただよい、『ムッシュー・ウォン』というベトナムレストランと 『ブラウエス・バンド』というカフェくらいしか、めぼしい店が見当たらなかった、このアルテ・シェーンハウザー・シュトラーセ。 変なタトゥー屋があって、その隣はぼろぼろの公園があって、美味しいイタリアンと、時々映画を上映しているカフェ、素敵なお花やさん。 後はプロラボと、カメラ屋、画材店、アート書店・・・という感じだった通りは、 私のお気に入りの通りでもありました。
しかし、今や・・カフェ、ブティック、レストラン、ブティック、カフェ、セレクトショップ、レストラン、靴屋、ブティック・・という感じ。
しかも大手のブランドがどんどん参画してきているので、小さな個人商店好みのベルリン子たちは、微妙に立ち寄らない通りへと、 変わりつつあるようにも思えます。
もちろん、いいお店もまだあります。
でも、こじんまりとした店、特にデザイナーのオンリーショップや セレクトショップなんかは、このアルテ・シェーンハウザー・シュトラーセに交差する細い道に移動しているように感じられます。 だから、私がこの道を通るのは、自転車で、さーっと別の道を通り、次の道へ行く時の途中、 ということが多くなってきました。
この道を印象づけていたお店のひとつ、古いお肉屋だった場所を改装して作ったアート書店、『pro qm』。
『パフォーマンスをした時に、パフォーマーがぶつかっちゃって』できたという天井の穴。 それに続く螺旋階段の下にじんどって、のんびりと個人発行の雑誌なんかをめくっていると 90年代のベルリンって、色々面白かったんだろうなあ・・と想像が広がりました。
建築、アート、カルチャー・マネージメントという様々な分野からやってきた人たちが、 アートイベントや、リーディング、パフォーマンス、パーティ・・色々な催しを行う事もでき、かつ、 それらの情報も発信、という考えで始められたこの本屋。 イベント用にスペースがすぐ作れるよう、奥の部屋の本棚は全て可動式になっていました。 しかし、本屋さんは、近所にさらに大きな場所を借りて、お引越し。 本屋としてはさらに充実の品揃えとなり、本屋としての魅力はアップしたのですが 『やっぱりアルテ・シェーンハウザーの店はかっこ良かったな〜』と思うことも。 というか、この本屋があったから、この通りに足を運ぶ事が多かったのだ、と無くなってみて初めてわかったのです。
しかし、このアルテ・シェーンハウザー・シュトラーセ。 今も,色々なビルがピカピカに改装され、広くぼろぼろだった公園は更地となり次のビル計画に備えられ、 トアー・シュトラーセとの角にはクレーン車がたち、せっせとまた何かが作られています。 上の2枚の写真は、昨年撮影のものと、今年4月(右)に撮影した同じ場所です。 左端の新築のビルはさることながら、中央のすすけた茶色のビルが、 右写真ではぴかぴかの白いビルになり、さらには最上階に小さな明かり取り窓まで作られているのにびっくり。
こうやってまた、私が居る間、どんどん、どんどんと変わっていくのだろうなあと思いながらこの通りに立ち、カメラのシャッターを切りました。


*通りのヒトカケラ*
この道沿いに、2007年5月現在
ほとんど唯一残っている『フツーのお店』、ピアノ屋。
ベートーベンのデスマスクが
ピアノ柄の帽子かぶってます。
頑張ってこの道で生き延びてほしい。






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