Sophienstrasse




ゾフィーエン・シュトラーセは、私が現在住んでいる通り。(2004年現在)
ベルリン、ミッテにあるのだが、観光客が道にまではみだしているからなのか、 一方通行で通りにくいからなのかは分らないが、 車がほとんど通らない静かな通りで、ドイツ人言う所の “村みたい”な雰囲気を醸し出している。 広い緑地(というか実は無縁墓地)を持つ教会があるので、道全体がしっとりしたグリーンの匂いがするのも、“村”らしい。
その雰囲気作りに一役買っているのがこの道の街灯。 一番上の写真に見られるクラッシックなランタン型をしていて、日がとっぷり暮れた頃、 ここにぽつんとオレンジ色の明かりが灯る様子は、いかにもヨーロッパの冬、という感じだ。
ハーケッシェ・ヘーフェの裏の抜け口(上左)につながっているとは思えない、静かな趣のこの道には、 昔ながらの人形劇(下左)や、 サシャ・ヴァルツの古巣であり、今でもベルリンのコンテンポラリー・シアターとして頑張っている ゾフィーエン・ゼーレ(下右)などが 静かに主張している。 旧東独地区だが、外側はしっかり綺麗にお色直しされていて、綺麗な街並だ。 建物は天井の高いアルトバウ(天井が3.5〜4メートル高。1900年〜に建てられた築100年くらいのものを指す)らしい大きな窓の建物が多く、 ちらちらとノイバウ(天井が約2、5メートル高。1960年代〜に建てられたもの。)が混じっている感じだ。 ミッテ地区の中でもここらは地価が高いと言われているのだが、私の今の家は安く、プレンツラウアーベルク地区やクロイツベルク地区と比べても 安い方。
その理由は?
引越した当初、まず、全てを直す必要があったのだが、絨毯を敷こうと思ったら、四方の壁は全てがたがたに曲がっており、 合わせて切るのがとても大変だった。 そして、日本の裏長家か?と思うくらいに、壁が薄い、いや壁は厚いのだが防音効果がなってない!ああ悲しきDDR(旧東独)住居。
遊びに来た友人が『誰かの叫びが聞こえる!』と言っておびえていたが、“グェーッ、グオッホ、ゴッホゴッホ・・”これは私の上に住んでいる、多分喉か胸の悪いおじいちゃんなのだ。そして、台所に座っていると、きっかりと半に、“クックー、カーン、クックー、カーン”と鳩時計の音が聞こえる。これもおじいちゃんの時計(涙)
私の住んでいるアパートは、隣、上、さらに上・・と東独時代から住んでいるのだろうと推測される、おばあちゃん、おじいちゃんばかり。 ななめ上には耳の悪いおばあちゃんが住んで居て、私が部屋でTVをつけるよりハッキリとしたTV番組の音が、アパートの階段に響き渡っている。 ちなみに、おばあちゃんはドイツでKrimi と呼ばれる探偵、警察シリーズ番組が好き。
小さなギャラリー、昔ながらのパン屋、古着屋、等が中庭やちょっと入った小道に隠れている、ゾフィーエン・シュトラーセ。その通りのアパートの住民は、 意外に老若男女入り交じり。 朝はせかせかと学校に向かう大学生や、ネクタイをきっちり絞め、カートを片手にスーパーに向かうおじいちゃんが、早起きの観光客達に混じって見かけられるでしょう。


*通りのヒトカケラ*
Sophienstrasseの廃虚の壁にいつからかくっついている手作り時計。





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