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ウィルヒョウヴェックを1本の、名前を持つ道として自覚している人は少ないかも知れない。
何故ならこの道は、ベルリンで一番大きな大学病院、Charite/シャリテーの中にある道だから。
ちなみに、ウィルヒョウ・シュトラーセという道もあるが、こちらはフリードリッヒスハインの公園内を通っている。 幸いなことにベルリンに来てから大病も怪我もしていないので、ここに来たことは数える程。 一度、友達がここへ運び込まれることになり、あわててタクシーですっ飛んで行った (あまりに急いだので、私の方が本人より先に到着し、探しても見つからなくて恐ろしい思いをした。本人も無事で何より)事があるが、 自分では、週末に、自転車で気分良く走っていたら、後ろも見ずに急バックして来た車にひっかけられて手を怪我してしまい、 週末もやってそうな大病院、というとこの病院しか思いつかなかったので、ここへ来た。 そして、後は、怪我でも病気でもなく、この病院の隅っこに隠れている、ベルリン薬学史博物館を見に来た時だ。 このVirchowという文字を見て、ピンと来た方もいるかもしれない。この道は、ルドルフ・ウィルヒョウという病理学者の名前がつけられている。 1856年、ウィルヒョウは、現在シャリテー病院の建物が立っている場所にあったベルリン大学、病理学の教授に就任。 1890年までの間に彼は、1万9千もの標本を収集し、ベルリン薬学史博物館の基盤を作った。 目的は、有名な病気の、典型的な標本だけでなく、その病気の経過がわかる、様々な器官の記録標本を集めること。 1893年、彼のコレクションの価値を認めた政府が、独立した博物館のためだけの建物を建ててくれることになり、1899年、完成した。 第二次世界大戦までに、なんと2万6千にも増えていた標本は、戦争を生き延びることができず、戦争が終わった後には2500程しか無事ではなかったという。 しかし、その後は着々とまた標本は増やされ、また現在でも彼が集めて居たものすごく古い標本を目にすることができる。 この薬学史博物館では、標本だけでなく、たまに現代アートの展覧会も行われている。ホルマリン漬けのなんとかとか、 古い物だとロウ細工のモデルとかと混じって、現代アートが並んでいるのはなかなか面白い眺めだ。 廃虚となった大ホールでは、イベントやパフォーマンス等も行われているとか。このホールは、ものすごく天井が高く、巨大な窓から暗闇に光がさす。 ひんやりとした空気が流れ、レンガがぼろぼろに崩れているが、それがそのまんま残っている。 私が行った時には、大判のレントゲン写真がかけられていて、これがまた雰囲気にすごくあっていた。 博物館から外にでると、レンガの建物に、ツタが絡まり、その周りには緑が多くて気持ち良かった。 病院だから入院患者さんや付き添いの人の心を少しでも慰めてくれるように配慮されているのかもしれない。 道を端まで歩いてみると、そこから、今、頑張って完成させようと工事している中央駅が見えた。 |
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