今回は工事中コンテンツらしく、工事現場に表れた物体について。HPの表紙写真にもしたこの写真、現在大規模工事中のベルリンペルガモン博物館裏にある工事現場に張り巡らされた濃ピンク色の管(工事で出た下水を流す水道管らしい。実はなんなのかはっきりわからず。)
その管の上には、ペルガモン所蔵の美術品、工芸品の名前や、作家名がプリントされているのを先日散歩中に発見しました。
ペルガモン博物館の所蔵品等は、今年の日本におけるドイツ年でも、ベルリンの秘宝展、で展示されたようですが、ベルリンのミュージアムは、ペルガモン博物館だけでなく、大規模に改修工事中。東西ベルリンに別れていた時に分散していた美術品を再び統一する作業に追われているためです。
私が95年、初めてベルリンに来た時は、西側ダーレム等にも美術館がありましたが、東側はどこも工事中で閉鎖されていました。 最近、西側、シャルロッテンブルク宮殿側にあったエジプト博物館は閉館。 東西統一から15年、未だに部分的にしか開館していないボーデ博物館等を見ても、中身の統一はもうちょっと時間がかかりそうです。

かなり大規模な工事。
そこを横切る管には、
スペインの絨毯・・と書かれています。



ベルリン市内にある工事現場でよくみかけるこの濃ピンクの管、日本から来る方は気になるようで、あれ何?ってよくきかれるんですが、私も本当の所よく分かっていません。 工事現場の下水道管というのも人から聞いただけで、日本じゃなぜ見かけないのかとか、その辺りの詳細不明。
しかし、動物園駅近くにある建物のかなり太いピンクの管だけは、工事現場とは別物で、冷却水を循環させている管だそうです。
この、管にプリントされた文字を始めてみた時は、けっこう新鮮でした。ぼーっといつもの通りをいつものようにあるいていて、いつものように、あー工事現場だ、いつになったら完成するのかねえ・・とふっと見上げたら、白ヌキの人名が目に入ってきて、パッといつもの風景が違うものに変わってしまったような感覚。よくよく見ればすごく面白いわけでもなかったのですが、出会いが良かった!
そして、名前を伝って読んで行くうちに、へえ、こんな作品もペルガモンミュージアムに収蔵されているんだ〜、と発見したり。
ただ、ポスターを貼って、こんな作品がありますよ、と説明してあるだけでは、当たり前過ぎて、あっそう、ふーん、と見過ごしてしまうけれど、名前だけだと、セザンヌかあ、どの作品かな?とか、 シンケル、あーあの建築・・とか、スペインの絨毯って?ってイメージが広がって、訪れてみたくなります。誰のアイディアか知りませんが、工事中の博物館への興味をかき立てる手段としては成功しているかも。
日本は、どこに行っても看板やら広告、ビルボードが多くて、風景の中に文字が存在しているということ自体普通。 逆に多すぎて、目がチカチカしてきますが、ベルリンは非常に少ないので新鮮だったということもあるかもしれません。 ドイツでは日本に比べれば少ないですが、ベルリンは東独地区があったため、さらに少ない。東独は80年代後半から、広告しようにも商品が店にないという状態。 ポスターと言えば政党大会か、スポーツ等のイベント広告のみだったと言います。 映画、グッバイ・レーニン!でも、灰色の東独ビルの壁に、真っ赤なコカ・コーラの広告が掲げられる瞬間が非常に印象的に描かれていました。
そういう場所だからこそ、この工事現場の文字が目立ったのでしょう。長い冬の間は見るだけでも落ち込んでしまうどんよりグレーの街ですが、この文字を見つけて、グレーも良いね、という気持ちになりました。
*追記
ベルリンは地下水が多いため、工事現場に水をくみ上げる管が必要なのだそうです。
ワールドカップ開催に合わせてオープンする予定だった、ブランデンブルク門そばの地下鉄駅が、地下水のせいで完成が遅れ(というか2007年3月現在まだ未完)たり という話もありました。
この工事の遅延については、建築会社と築主の間で争いごともあったようですが、『ベルリンが地下水でいっぱいなのは誰でも知っているのに、今更地下水のせいで工事が遅れた、と言っているのはおかしい』という指摘も。 しかしベルリンで工事が遅れるのは日常茶飯事。 ぎりぎりでワールドカップに間に合ったベルリン中央駅が、後で多くの問題を起こしたことを考えれば、 遅れても良いからちゃんとやってほしい、というところですが、 『期限通りにきちんと仕上げる』が本当は普通なのではないか?と、微妙な疑問も頭に浮かびます。(2007年3月、筆)
これについては、以下のコンテンツに話をアップしています。
ついに完成、ベルリン中央駅



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