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(c) Gerald von Foris
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映画はウクライナからベルリンを目指してやってきた亡命者達がオーダー川周辺の村に辿り着く所から始まります。
『そこの道を越えたら、もうベルリンさ。明かりのついている家にかくまってもらえるよ。』と聞いて明かりのついている家に行ってみると『ここはポーランドだよ!』と言われたあげく、かくまってももらえない。夜の暗闇にまぎれてオーダー川を越えよう!という人達と、赤ん坊を連れているため川を泳いで行くのは無理な夫婦。 赤ん坊を連れて24時間営業の店をはしごしていた夫婦は、娘の聖体拝受のドレスのために今すぐまとまったお金が必要なタクシー運転手アントーニ(左)と知り合って・・・。 |
ベルリンに行ってポツダマー広場を見るんだ!!と張り切っていたウクライナからの亡命者のひとり。(右)。 オーダー川を越えようとして失敗し、逮捕された彼をなんとか助けようとする国境警備隊のロシア人通訳ソーニャ。それをなんとか止めさせようとするドイツ人カメラマンの彼氏。2人は結局喧嘩をし、ソーニャは自分の仕事とドイツでの生活を脅かすと分かっていながら亡命を手伝うことに・・・。 |
(c) Gerald von Foris
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フランクフルト・アン・デア・オーダーでマットレス安売り店をやりくりしようとする、インゴ。
職業安定所に行って『ドイツ語話せる人!』と捕まえてきた人達にマットレスを着せ、ニューオープンのチラシを配らせるのですが・・・。 |
そしてポーランドから税金のかかっていない煙草を密輸し、ドイツでベトナム人に売り払う仕事をしているアンドレアスとその仲間達のエピソードや、ポーランドでゴージャスなビジネスビルを立てようとしている建築家グループのひとり、フィリップと元彼女のポーランド人通訳(右写真)との苦い再会が描かれます。
シュミット監督とほぼ同じ時期にベルリンにやって来た私にも、この映画にあるような小さなエピソードが毎日のように身の回りに起こり、またベルリン生まれではないので慣れておらず、些細なことにドキッとしたり、目をそらせなくなっしまいます。そういう意味ではこの監督と少し似通った目を通してベルリンをみ、感じているのかもしれません。 旧東ベルリンの中でもけっこう奥の方にある自宅の最寄駅で、映画に出てきたようなベトナム人達が違法煙草を売っているのを毎日横目で見ながら通学し、友だちから失業保険をもらいながら時給5ユーロでバーで働き、自分の好きなことを続けようとしているけれど、辛いんだ、という話を聞かされ、若い子達がよろよろしながら『僕は16才、2年前からホームレスで、食事をするお金が必要なんです。小銭ないですか』とお金をせびるのをふりきって電車に乗る、そんなベルリン生活でこの映画を見ると、とっても切なくなってしました。映画でもう一度、こんな現実を目の前に見せられるのか、と。 |
(c) Gerald von Foris
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ある早朝、駅の側で違法煙草を売っていたベトナム人が逮捕される瞬間を見たのです。煙草を買うふりをして近付いてきた太った金髪のドイツ人私服警官に手錠をかけられたベトナム人煙草売りと目が合って、彼の、私の目に似た黒くて丸い目がパトカーに乗せられるまでずっと、じーっと私を見ていたのです。その時私の頭の中には『日本人は1ヶ月の語学学校の学生であっても、滞在許可が簡単に2年とか出るけれども、ベトナム人は大学生でも3ヶ月ごとに更新しないといけない』とか昔ベトナム人の知り合いに聞いたことがごちゃごちゃと駆け巡っていました。
同じような顔をしているのに。私と彼を分けているのはなんだというのだろう、と思ったのです。そして、ある意味裕福に面白おかしく毎日を暮らしていることへの後ろめたさのようなものが、込み上げてきました。 どこに、境にあるのか。幸せな人も不幸せな人も、貧しい人も裕福な人も、救われる人も救われない人も。多分、国境の街に住んでいるからこそ毎日のようにそういったことに触れ、考えることが多いのでは無いかと思いました。 この映画をみて、そんな空気を嗅いでみて下さい。 |
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