Holsteiner Ufer



ホルスタインウーファーには、前回書いたリヒェナ−・シュトラーセ と同じく、ある場所に行くためにだけ、目指して行く通りの1つ。 ウーファーとは岸辺のことで、この通りはその名の通り、ゆったりと流れるシュプレー川の川岸にある緑の多い静かな通り。 店屋等は通りに1つしかなく、後は閑静な住宅街といった趣きだ。 静か、と言ってもプレンツラウア−ベルク、パンコウ周辺にある住宅街とはまったく違う静かさ、落ち着いた柔らかい静かさを感じる。 お年寄りの姿をよく見かけるのにも納得。私も老後はココだな、と勝手に決めた。
さて、年金の手続きこそ始めたが、まだそれを受け取るのは当分後になりそうな私が、何故ココに来るか、というと、 バウムクーヘンを買うためだ。 バウムクーヘンと言うと、スティーグリッツの方にあるラビーンが有名なのだが、 何せ家から遠いので、1、2回行ったきりだ。 もともと日本に居た時からユーハイムのバウムクーヘンを自分で買った事がない私。 ドイツでも南ドイツが原産らしいこのケーキをあえてベルリンで買おうという気はあまり起きなかった。 しかし、日本から来た人にちょっとしたお土産をあげたい時、バウムクーヘンはとっても便利。 ベルリンでは、東京で売っていなくて、かつ、カワイイ、もしくはオイシイものがなかなか見つからない。 もちろん、売っていないものではある。友達の作ったケーキや、昔ながらの信号機(グッズは駄目)、お気に入りのカフェ達。 でもそれは一緒にみることができても買ってお土産に持たせるわけには行かない。 まあ、どこかに行ったらお土産!という考え方しなくても良いのだけれど、せっかくベルリンに来たなら、何か記念になるものを渡したい。 そこで登場するのがバウムクーヘンなのだ。
このブッフヴァルトのバウムクーヘンは、昨年まではラビーンに抑えられ、 2位の座を強いられていたが、昨年末にKDWにて行われたバウムクーヘンコンペで、ついに悲願の1位を手にしたのだ!
といっても、そんなことを新聞記事で読んでおお〜!と思ってさっそく買いに言ってしまうミーハーな人は私くらいのモノで、 ドイツ人はそんなコンペの順位に左右される事無くこのカフェ・ブッフヴァルトを訪れている。
流行りのカフェとはまったく違う古びたレースのカーテン、どっしりした巨大なケーキに生クリームは昔ながらのドイツらしい雰囲気。 ちょっとお年を召したドイツ人宅に午後、遊びに行くと、ずらりとケーキが並んだ居間に通され、 『若いコはぽっちゃりしてた方が良いのよ〜。』とか言われてカフェとケーキ責めにあうが、まさに、その感じなのだ。
平日の午後は、おばあちゃんおじいちゃん達の憩いの場、休日はひきも切らずに家族(孫)連れやカップルが訪れる。 いわゆる流行りのカフェに飽きた若い人達からも注目されているらしく、雑誌等で最近よく取り上げられるようになった。 窓からウーファーの水辺が見えるのがまたイイ。
カフェから出て、ぼんやり橋の向こうを眺めていたら、ブッフヴァルトのケーキの包みを片手に、 もう片方の手をパートナーと握りあってお散歩中のおじいちゃんおばあちゃんのカップルが通りかかる。 あ、良いなあ、こんな風に年取りたいな、って思った。


*通りのヒトカケラ*
橋のたもとにある平ベったい熊の像。
眉根に皺を寄せた困り顔がいかにもドイツ。
平ベったさがすごくカワイイ。





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