Veteranenstrassse




フェテラーネン通りは、ヴァインべルクスヴェックと フォルクスパークをはさんだ向かいの通りで、ツィーオンズキルヒェという教会のある辺に続いている。 ヴァインべルクスヴェックと比べてあまりメジャー感がないが、小さな手作りっぽいブティックやアンティーク家具屋、常連しか居ないようなカフェバー、 そして、工事現場とみまごうばかりの適当建築の中にある映画館ACUD…、案外面白いとこなのだ。
ACUDは、東京で言えば早稲田ACTミニシアターみたいな(ごろ寝しながら見る変わった映画館。まだあるのかな?)、 自らセレクトした珍しいプログラムを流す映画館で、東西統一記念日前後にやっていた東独映画特集やら、最近では北欧映画特集やら、 なかなか興味深いのをやっている。 ACUDのある建物は、アーティストが占拠していて、ワークショップやカフェなんかが入っているみたい。 工事現場みたいな廃虚みたいな場所を、アーティストが占拠し、居残る権利を勝ち取って、活動を繰り広げている・・という経緯は 今やちょっと観光地的になってしまったタヘレスに似ているのだが、ここもやっぱりタヘレスとくらべると全然メジャーではなく、 映画館もプログラムによっては客が1人も居ない時もあったりする。 6時上映の映画をちょっと覗こうと6時半頃に映画館に行ったら、私達しかいなくて、席についたとたんに上映が始まった・・ なんてこともあった。
坂道はちょうど工事中で、写真を撮った時は石畳のはめこみ作業なんかをやっていた。 そして道には、多分この辺の住民のものであろう東独の紙製自動車、トラバントがとまっている。 そして、落書きだらけのビルと、その1階にあるオルタナ系ブティックの泣きたくなるようなセンスのショーウィンドー。 私の考える、ベルリンの今らしいゆるさがココにある感じだ。 ミッテの中では、年齢層が高めで、ヒップ度が低く、好きな通りではあるのだが、何かが微妙にあか抜けない。
そこがベルリンなんだ、って気がする。
そんな通りに昨年末、手作り派の味方、カワイイ布、リボン、テープなんかをそろえる店が出来た。 Frau Tulpe、チューリップさん、という名前のこのお店は、香港で働いていたこともある仕立て屋さんの女の人が始めた小さな店で、 香港経由で仕入れたという、日本のチャコペーパーやら糸切りハサミ、香港製のキッチュな花柄のテープ、アップリケ、70年代風プリントのジーンズ地等、 ベルリンの普通の布屋ではなかなかみつからない品揃えが魅力。
東京では吉祥寺のユザワヤ、日暮里のトマト等、キッチュで安くて変な布が沢山手にはいる環境にいたので、 ベルリンの布/手作り系の事情にはちょっと不満があった。 もちろんベルリンだって舞台衣装用の布なんかをずらーりと揃えた店があったりするのだけれど、そこは家から遠いし、プロ専用だから一見さんお断り、 そして、ゆっくり見て触りながら選ぶというのが出来ない。 だから、こういう店が近所にできたのはホント嬉しい。 オーナーのチューリップさんは、店にいたら、たいてい店内のミシンに向かっていて、 こちらの初心者的な質問にも親切に答えてくれる。 先日、作品に使う鼻緒を縫っていた時、素材のベルベットに手を焼いて(これがミシンで縫いにくいんだ〜!)どうしたら良いか詳しく相談にのってくれ、ほんとうに感激した。 12ユーロで縫い物コースもやっているようだ。 私は一応ミシンなんかは扱えるし、服飾デザインをやっていた友達もいるので、縫い物コースは興味ないのだが、自分の好みにあったバッグや座ぶとん、着物の端切れを使った小物等、 裁縫にはまっているので、最近この通りには足しげく通っていました・・ が、先週ミシンが故障。ミシンが直るまでは、ちょっと足が遠のきそうです。


*通りのヒトカケラ*
Veteranenstrasseにあるオルタナ系のブティックで売ってた
グミを使ったアクセサリー。口の所がnimm2、目の所がHARIBO
どのブランドのグミか特定できてしまう自分が恐い…




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