Weinbergsweg




ヴァインべルク小道は、長〜いカスタニアン・アレーの延長にある通り。 平らなベルリンには珍しい坂を市電(最近メトロという名前になった)がゴトゴト通る。 この坂を通る時、必ず、何かが下をゴロゴロと転がっていく音がする。 最初にこの音に気づいた時は、車内にビール瓶か何かが放置されていて、それが坂になったので後ろの車両に転げ落ちていったのか?と思ってたのだが いつも音がするので、そうではないようだ。
坂の上の方はフォルクス・パーク(国民公園)とアパート群があり、ひろびろ。 下に降りてくると、カフェやレストラン、屋台がごちゃごちゃと顔を並べている。 通りの名前Weinbergswegを日本語に訳してもらったのか?と推測される、ぶどう畑、なる名前の寿司レストランもある。 朝食の美味しいレストランGorki Park、nora の2店がここにあり、 また、屋台のパン屋さんRosenbackでは、実は密かに美味しいクロワッサンが売っているため、日曜日の朝食前はこの辺によく来る。 話は変わるがベルリンでは、クロワッサンが美味しく無い。フランス人が、『こんなものをクロワッサンと言う名前で売ってるなんて!』と怒ってたが、 形こそクロワッサンだが、あのパイ生地のような、包み紙がバターで脂っこくなってしまう程ふんだんに使われたバターの香り高い、 口当たりがサクッとしたアレとはまったく違う、ただの半月型パンなのだ。
しかしRosenbackのクロワッサンは、そこそこサックリ、そして何よりお値段が安い(65セントなり)庶民の味方。 ただし昼過ぎにはもう冷たくなってしまうので、あくまでも朝食に買うのがオススメ。
その隣には屋台の八百屋、トルコ人経営のヨーグルトやチーズ、漬け物みたいなものを売っているお店がある。 日曜日には商店が休んでしまうから、日曜日はとっても便利。 この道には人気のユースホステル・Circusがあり、そこのお客はきっとこの屋台のお世話になっているだろうなあと思う。
さて、この屋台の集まっている所に、私設証明写真の小さな小屋がある。今どき渋い白黒オンリー。 妙な事だが、ココが実は最近人気らしい。証明写真に人気も何もないだろうと思われるだろうが、夜ココを通ると、パーティやクラブ帰りのカップルやらグループが ぎゅうぎゅうに詰まって写真を撮っている。
うーん、これって日本で言うとプリクラみたいな感覚なんだろうか。 でも、街中にある証明写真機で、プリクラみたいな遊び写真は撮れるし、それに比べればこの機械は白黒なだけで、特にそういった特殊なエフェクトはついていない。 ベルリンの"ぴあ"、Zittyが壁崩壊15周年記念に『西を愛する1000の理由/東を愛する1000の理由』という特集をしたのだが、その『東を愛する1000の理由』にも 『証明写真自販機を外出先の1つにしてしまうという奇妙なアイディア・Rosenthalerplatzそば』と書かれていた。 ドイツ人も妙だとと思ってるのね。
私があとこの道で好きなのは、ハードな落書き。スプレー管で文字を書いたものから、ステンシルみたいなのを当ててスプレーしたもの、 自作の看板。扉にも、壁にも、道にも、電信柱にも。クロイツベルクにも多いのだけれど、この道周辺は色が渋い。 誰がやってるんだろう。今まで目撃したことがない。 自分でやってみたいなあと思った事もあるのだけれど、電車にスプレーしてて捕まった子どもの親ごさんと話す機会があった時、 なんだか物凄い額の罰金を払わされたときいて、ためらっている。 小さなシールとか、ちょっと貼ってみたい。なんか、気付いた人が、楽しくなるようなのを。  


*通りのヒトカケラ*
Weinbergswegの壁にあったスプレーペイント。"kotzen"はゲロを吐く、の俗語。
"sich auskotzen"は、自分の中にあるイヤなモノを誰かに吐き出す、というような意味。





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