先日“Good Bye Lenin!”の監督の前作、 “Das Leben ist eine Baustelle ”(人生は工事現場)を見て来ました。
肉をさばくアルバイトをしているヤンの、どっかうまくいかない人生の話。
これをみていて、ふと、昨年みた、“Halbe Treppe”を思い出しました。これも、なんかすれ違ってしまう、人生の話です。 ベルリン映画祭で銀熊賞を受賞しました。。
本当にドイツ映画〜〜〜〜という感じでしみじみ、最後まで、本当にとっても良かった映画でした。この映画については別コンテンツをご参照頂けると嬉しいです。

映画も工事現場な、ドイツ、ベルリン。

“Das Leben ist eine Baustelle ”
1996年、脚本は“Good Bye Lenin!”のWolfgang Becker と“ラン・ローラ・ラン”のTom Tykwer。
疲れて仕事から帰る途中に警察の捕り物に巻き込まれ、何故か逃げるはめになり、つかまったところに肉切り包丁が発見され、罰金刑。次の日に仕事にでかけると首にされたあげく、ちょっとつきあった同僚から、『HIVポジティブかもしれない』と告げられます。よろよろと実家へ行くと、お父さんが死んでいて・・・・
日常のコト、仕事、お金、生きて行く事、死、愛、家族、そしてその中でもう
どうにもならなくて、叫んでしまう、そんなやりきれないシュチュエーションを描き出しています。(ヤンはよく吠えてました)
クロイツベルクという、ベルリンでも外国人が多く、失業率も高い地区がこの映画では中心となっています。
ヤンはここに結婚した姉と住みながら、『いつまでも独立しないままではいかん!』と考えています。この姉夫婦、毎日喧嘩をするか、ばか騒ぎをするか(お父さんは裸にエプロンで油ぎとぎとのソーセージを炒めてました)で、聖ニコラウスの日(良いコにはプレゼント、悪いコには一叩きが来る日)にも子どもを一向にかまう様子もなく、お母さんは下着パーティ、お父さんはパンツいっちょうでごろごろ、ヤンの持って来る肉を待っています。
この、ぐちゃぐちゃな家を出て、死んだお父さんの家を改装し、引越すのですが、この家が改装中で工事現場のまっただ中。扉をあけると、鉄骨がそこにある、というような。
そこを基点に、ヤンの恋人ベラ、昔は売れっ子歌手だったバディー、ギリシアから行方不明になった兄弟を探しにきたクリスティーナ、ヤンのお姉さんの娘ジェニー、ヤンが、その日、その日を生きている様子を描いた悲喜劇です。

主役のヤンを演じるのはJuergen Vogel 。『壊れたやつか、くそったれを演じるのが一番好き』という彼は、この映画ではとことん情けない、よれよれのヤツを演じています。なんというか、実感があるというかこういう顔、みかけるなあ、という顔で最高。ヤンの彼女、ベラを演じるのはChristiane Paul。旧東ベルリンパンコウ生まれ、で今もパンコウに住んでいるという彼女は、きつい顔ですが、見なれるとなかなか魅力的。
監督、Wolfgang Becker は俳優のセンス抜群と言われている様ですが、納得です。
そしてこの映画は、Becker 監督だけでなく、Tom Tykwer 監督も脚本参加、“Good Bye Lenin! ”“ラン・ローラ・ラン”とヒットを飛ばしたプロダクション会社、X Filmの昔の映画を見ると言う意味でも非常に興味深いものでした。

X Film は8年前にStefan Arndt (プロデューサー)Wolfgang Becker, Tom Tykwer, Dani Levy(Stille Nacht 監督) の4名でベルリンに創立された会社です。“Good Bye Lenin!”の次は“Good Bye Stalin!”はやりませんよ(笑)といっていましたが、すでに次作、“Der Rote Kakadu”(赤いオウム)の制作は始まっているようです。60年代のドレスデンを舞台とした話だとか。楽しみですね。



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