Maassenstrasse


マーセン・シュトラーセは、ノーレンドルフプラッツ駅から、 ヴィンターフェルドプラッツに続く道。
ベルリンで始めて住んだアパートがこの道の角だったので、印象深い道なのだが、名前をまじまじと見たのは、今回、写真を撮ろうと思って行った時が初めて。
2000年、ベルリンにやってきてゲーテ・インスティテュートから紹介されたアパートがこの道から数歩のところにあった。 ドイツ育ちのトルコ人のおばちゃんとの同居。フレンドリーで、毎週末、家族全員揃って御飯を食べたり、最初は楽しかったのだが、私がまだ、ドイツ語がまったく出来なかったこともあって、 ある出来事をきっかけにもめ事が起き、2ヶ月程で出ていく事になった。 それまで毎日、平日はこの道を通って駅へ、週末はこの道を通ってヴィンターフェルドプラッツのマーケットへ・・通らない日は無かった。
場所自体はとっても気に入っていて、引越してからもちょくちょく来る。 駅の反対側にある、キロ売りの古着屋に行ったり、アインシュタイン・カフェにお茶をしにいったり、マーケットを覗きに来たり。 夏は、頑張って自転車で。でも、ワイン屋に買い物に来る時だけは電車で。 ワイン屋からさらに歩いた所にあるホビーショップにも寄り道。
ここに来る時は、行きたい店を取りあえず全部回る。用は無くても見る。安くて美味しいワインも取りあえず買っておく。 なぜなら、めったに来ないから。家から来ようとすると、Sバーンから地下鉄に乗り継がねばならないのが、なんだか面倒なのだ。 雰囲気の良い通り、スーパーやマーケットも揃っているし、住むには良い地域だと思うので、引越す度に、この周辺の物件もチェックはしているのだが、家賃が高いうえ、あまり出物がない。 多分、住んでいる人達は、学生とかではなくて、住むなら長期間、ちゃんと改装もして・・という人達なのではないだろうか・・と道沿いの、窓の大きな、天井の高そうなアルトバウを眺めながら思う。 並木もちゃんと整っているし、自転車用道路もあって道幅が広いし、なんというか、ミッテとかプレンツラウアーベルクの、雑多で適当な感じじゃなくて、 ちゃんと手入れが行き届いている感じが漂っている。
さて、買い物と散歩に疲れたら、道の角にある、オーストラリア・カフェで一息つく。 ベーグル、マフィン、ブラウニーといった、アメリカンなスイーツが並ぶ店。ベーグルを買って、ミルクカフェを頼む。 ちょっと大味だけれど、ゆっくり座れて、暖かい糖分が補給できれば良いのだ。 お腹が空いていれば、Habibiでファラフェルを食べても良いのだけれど、 Habibiにはいつも座席がないので、買い物疲れした足にはちょっと辛いのだ。
お勘定を済ませて、駅へ。道沿い、駅のすぐ前には、Tシャツ屋がある。 店のまわりには商品のマークや、ロゴ等を使った手作りプリント風のTシャツがびっしり掛けられている。 例えば、ロートケプヒェン(東独のシャンパン)の赤ずきんちゃん、コンデンスミルクの熊マーク、 シャボン玉の熊マーク、東独の国営航空会社のマーク等。 この店を目にするたびに、ああ、あの商品の、あのマーク・・と思うのだが、実際店に入ったことも、手にとった事もない。 悪くないと思うのだが、何故か、いつも、どこかに行く前(後で見よう)か、帰り(もう今日は買い物はお終い)に目にするので、 店に入る気力が起こらないのだ。いつの日かこの辺に住む事があれば、散歩途中にぶらりと寄ることもあるかもしれないけれど。


*通りのヒトカケラ*
ヴィンターフェルドプラッツの教会の庭の柵。
ローゼン・ヘーフェの建築のディティールに似ている。
通り沿いにある建物が、同じ建築家の作だから、
この柵もそうなのかもしれない。
建築の方は金色とペパーミントグリーンで
キッチュだけれどこちらは渋め。






画像、文章の無断転載を禁じます。
All Rights Reserved, Copyright(c)by Hideko Kawachi