Wittenbergplatz



ヴィッテンベルクプラッツ。私はこの駅が大好きだ。何年かずっと改修工事をしていたが、 無事リノベーションをすませた古い駅舎はモザイクタイル、木の扉、時計塔、区切られた窓から射し込む光・・昔にタイムスリップしてしまったかのような感覚を受ける。 壁に残っているポスターは、ルフトハンザ、オペル、そして、この駅のすぐ側に立っている豪華デパート、KDW等のもの。 古い物が残っているわけではなく、例えば、この近所にある電化製品ショップ、CONRADのポスターには今の写真がコラージュされているし、 多分この駅舎の雰囲気に合わせるために復刻したものや、古っぽくしたのだろう。
キヨスクやチケット自販機も妙に馴染んでいるのが面白い。
駅を出て、地上に出ると、駅のぐるりはTauentzienstrasseと 駅を挟んで全部ヴィッテンベルクプラッツ、広場となっている。 ドイツは芋天国?というコンテンツでも書いたが、この広場には何故かソーセージ&ポテトのスタンドが3つも立っているし、 この広場で火曜日、金曜日に行われている市場では、種々のジャガ芋を並べる店もでる。どうもジャガ芋に縁がある広場だなあと思ったり。 広場が、駅を挟んで、噴水、そしてソーセージスタンドと対称になってるように見えるのも面白い。 噴水の周りに並んだベンチには、昼間から何をするでもなく、おじさんやおばちゃんが1人で座っている。 たまに2人とかで座っている人もいるけれど、おしゃべりが盛上がっている様子でも無い。
その背中を見ながら、シティバンクのガラス戸を押して、中に入る。この広場を通るのは、KDWに買い物に来て、ついでにシティバンクに寄りたいとか、 もしくは、すぐ近くにあるアジア食材店、VIN-LOI に買い物に来た時だ。 VIN-LOIには、レンコンとか、苦瓜とかのアジア野菜があったりして、近所の店より、品揃えが多いので、わざわざこっちまで買いに来る。 たまにしか来ないので、来ると冷凍食品から野菜から、瓶詰めから、お菓子、食器まで買い込んでしまう。この店は現金のみなので、入る前に銀行に寄って、資金確保。
何年か前には、この広場にビオラーデン(ナチュラルハウスみたいな有機栽培の食材やらコスメなんかを置いてある店)があって、 この店の横で美味しい軽食を食べられたので、ここでお茶したり、御飯を食べたりもしたが、最近はその店もレストランになってしまって、ちょっと寄る感じではなくなってしまった。 市が立っている日なら、ちょっと覗いてつまめるモノを買ったりもする。何も買わないでも取りあえず通ってぶらぶら一周。 天気さえ良ければそぞろ歩きも楽しいのだが、夜は買い物が終われば、この広場周辺ではあまりとどまらない。 雑誌で、新しい寿司の店ができたと言う話を読んで、行ってみたこともあるのだが、残念ながら、特に美味しくなかった。
というわけで、この広場をうろうろするのは、市が立つ時だけとなった。 買い物に来た時は、広場はつっきるだけ。頭の中で買い物リストを復唱し、店から出て来たらたいてい袋に一杯荷物を持ってよろよろ。駅に直行だ。 沢山の人がこの広場をせかせか通り過ぎる。観光客がKDWを指差しながらゆっくり進む。おばちゃん達はベンチに座る。 なんだか人が生きている、という存在を感じさせない広場だ。通り過ぎるだけの場所。 良く知っているのに、知らない場所だ。
好きな広場なんだけれどね。


*通りのヒトカケラ*
Wittenbergplatz駅をおりると
すぐ目に入って来るのがホロコースト慰霊碑。
『我々が決して忘れてはならない恐怖の場所』
アウシュヴィッツを初め、
12の強制収容所があった場所の名前が。
後ろに豪華デパートKDWが見えるのが対照的だ。





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